妊娠中、腰痛に悩まされる方は多いと思います。
私の場合、腰痛は妊娠前から時々ありましたが、妊娠してから頻繁に起こるようになりました。
特に後期は痛みも強く坐骨神経痛も併発しました。
妊娠中期はセルフケアでなんとかなったものの、後期は辛く、鍼灸師の夫に助けられました。
今回は、妊娠中の腰痛、坐骨神経痛を改善した体験談をご紹介します。
目次
妊娠中の腰痛について
妊娠中に腰痛になる原因は、主にホルモンの影響と大きく重くなるお腹による負担です。
そして、主人が勉強した中医学的な見解では妊娠中の腰痛の主な原因は「腎虚(じんきょ)」によるものです。
ホルモンの影響
妊娠すると、赤ちゃんが骨盤を通りやすくするために「リラキシン」というホルモンが分泌されます。
それにより骨盤の関節や靱帯が緩むことで周辺の筋肉に負担がかかり、腰痛を引き起こします。
リラキシンは妊娠初期から分泌されているので、まだお腹が大きくなっていなくても腰痛が起こります。
ちなみに、生理前にもリラキシンは分泌されており、生理前の腰痛にも関係しています。
大きくなったお腹による負担
お腹が大きくなってくると体の重心が変わり、腰を反らせた姿勢(いわゆる反り腰)になりやすくなります。
反り腰は腰椎(腰の骨)だけでなく腰椎周辺の筋肉に大きな負担がかかるため、腰痛を引き起こします。
さらにこの姿勢では骨盤が前傾するため、下半身の冷えやむくみにも影響してきます。
臨月になるとお腹の重さは7〜8キロとも言われています。
そんなに重いものを常に支えているというのは、大変な負担です。
中医学的な見解
中医学の見解から言うと、妊娠中は「腎虚」になりやすいため腰痛が起こります。
「腎虚」とは「※腎」のエネルギーが不足している状態です。
(※腎とは:生殖系や泌尿器系をはじめ、様々な範囲を管理し、生命の源ととなるエネルギーを貯蔵しているところ。)
妊娠・妊娠の維持・出産には腎のエネルギーをたくさん使います。
そのため、妊娠中や産後は腎虚になりやすいのです。
この状態になると、腰痛・膝痛・頻尿・耳鳴り・物忘れなどの症状が出てきます。
早産・流産で腰痛の症状が出ることもある?
妊娠中に腰痛になると、早産や流産の心配をする方もいると思います。
確かに、早産や流産で腰痛の症状が出ることはありますが、腰痛だからといって早産や流産とは限りません。
ただし、腰痛の他に以下の症状がある場合は注意が必要です。
- 腹痛
- お腹の張りが続く
- 出血がある
これらの症状がある場合には病院で診てもらうことをおすすめします。
妊娠中に悩まされた腰痛、坐骨神経痛の症状
妊娠中は初期から腰痛に悩まされましたが、初期、中期、後期以降では腰痛の程度に違いがありました。
初期:生理前や生理中のような、重だるい痛み
つわりの症状が出始めた頃から、腰に鈍痛がありました。
私は生理前や生理中によく腰痛が出ていましたが、その痛みにそっくりでした。
前述したように、妊娠中の腰痛と関係の深いリラキシンは生理前の腰痛とも関係しているので、痛み方が似ているのは納得です。
妊娠初期はつわりの方が辛かったため、腰痛はそこまで気になりませんでした。
中期:腰痛、坐骨神経痛ともにあまり無し
中期にはつわりも解消され、お腹もまだ大きくなっていなかったので妊娠前から続けていたヨガや軽い筋トレを再開したためか、体調は良好でした。
妊娠を期に仕事を休んでいたため、時間があったことで体調管理に時間をかけていました。
私は後期までお腹が目立たなかったこともあり、あまり腰に負担は感じませんでした。
後期以降:腰痛に加え、股関節痛と坐骨神経痛も。ベルトがあると楽だった。
中期にとても体調が良かったことで、妊娠中の体の変化を甘くみていました。
後期、特に36週以降には急激にお腹が大きくなり、腰痛も出てきました。
お腹に圧迫されたり、赤ちゃんが下がってくることで股関節に激痛が走ることもありました。
坐骨神経痛でお尻から足首にかけて痛みや痺れも出て、思うように体が動かずストレスを感じました。
マタニティベルトを装着すると、お腹を下から支えてくれて重みが少しマシになりました。
それにより腰も楽だったので、外出時にはベルトを着けていました。
鍼や運動・ストレッチで妊娠中の腰痛、坐骨神経痛を改善
妊娠前から腰痛があるときには鍼を打ってもらっていましたが、妊娠中の腰痛にも鍼は効果抜群でした。
初期:1度鍼をすればしばらくは痛みが無かった。
初期は、つわりに対する鍼の方がメインでした。
腰痛に対する鍼は、特に痛みが気になる時にのみ打ってもらっていました。
そして、1度打ってもらえばしばらくは痛みがありませんでした。
この時期はまだうつ伏せになれたので、妊娠前と同じ姿勢で腰に鍼を打ってもらいました。
私が刺してもらったツボは左右の腎兪(ジンユ)と大腸兪(ダイチョウユ)。計4ヶ所です。
選ぶツボは症状によって変わりますが、私の場合は初期から臨月まで腰痛にはこの4ヶ所を刺していました。
腎兪は「腎」を養う効果が高く、腰痛や足の冷え、生殖系の問題などでよく使うツボです。
大腸兪は便秘や下痢、腰痛によく使うツボです。
腎兪と一緒に刺すことで腎兪の効果を補強する作用があるため、セットで刺していました。
妊娠初期に腰痛の鍼を打ってもらった頻度は、3週間に1回程度でした。
中期:ヨガやストレッチで予防ができた。
中期にも腰が重いなと思うことはありましたが、ヨガやストレッチをすることで腰痛は予防。
適度な運動をする時間も休息を取る時間もあり、体調管理がうまくできていました。
腰痛を感じることはほぼありませんでしたが、腎兪と大腸兪への鍼は妊娠中に大切な腎を養うことになるからという主人の勧めで、痛みが無くても1〜2週間に1度鍼をしてもらっていました。
後期:重いお腹で腰への負担大。頻繁な鍼で痛みはほぼ無し。
腰痛や坐骨神経痛が出てから、腰への鍼は週2〜3回ほど、ほぼ1日おきに打ってもらっていました。この頃はうつ伏せになるのは辛かったため、横向きで腰に鍼を打ってもらいました。
坐骨神経痛があるときにはお尻の環跳(カンチョウ)というツボに鍼をしてもらいました。
環跳はお尻のエクボのあたりにあるツボで、坐骨神経痛、お尻の冷えなどによく使います。
この環跳というツボが坐骨神経痛によく効くのですが、主人が刺してくれたやり方は呼吸に合わせて鍼を深く浅く動かすというもので、響きがとても強くかなり苦手でした。
ただし、痛みはすぐに取れるので、痛むときは我慢して受けていました。
鍼のおかげで腰痛はすぐに良くなり、その後も頻繁に刺してもらったおかげか体調は良く、妊娠前よりも腰痛が無かったほどでした。
定期的な鍼は、妊娠中の腰痛、坐骨神経痛以外にも効果が大きかった
今回は腰痛や坐骨神経痛にスポットを当てましたが、それ以外にも色々な効果を体感していました。
特に頻繁に鍼を受けていた後期以降は髪や肌の調子が良く、頭もスッキリとして思考力が上がっていると感じました。
また、後期になるとトイレが近くなり夜中にトイレに行きたくて起きてしまうこともあったのですが、腰に鍼をしたことでそれも解消されました。
これらはすべて腎が養われることで得られた効果だそうです。
腰痛のために受けていた鍼ですが、嬉しい効果もプラスされていました。
妊娠前から鍼は受けていましたが、痛みが出れば受ける、というような感じで、健康の維持増進のために継続して受けたのは妊娠中が初めてでした。
継続して受けてみて、鍼の効果の大きさに驚きました。
今は鍼も多様化して、技術もそうですが施設やサービスも妊娠中の方向けに特化した鍼灸院がたくさんあるようです。
みなさんも、1度そういった鍼灸院のホームページなどを見て、興味があれば体験してみるのもオススメです。