排卵誘発剤を使えばたくさん卵胞が育つと思っていたのに・・・。
卵巣年齢と呼ばれるアンチミューラリアンホルモン(AMH)を検査すると閉経間近の数値!
今回は、前途多難な体外受精の体験談を掲載しています。
目次
排卵誘発剤は大きく分けて飲み薬と注射の2種類
生理が始まると体外受精周期のスタート。
生理開始3日目以内に採血を行い、何種類もの女性ホルモンのバランスを調べます。
その後エコーで子宮と卵巣の状態を調べ、排卵誘発方法を決定します。
排卵誘発剤には大きく分けて飲み薬と注射があります。
注射も毎日打つ方法と、数日開けて打つ方法がありました。
排卵誘発剤を数日間使い、ある程度卵胞が大きくなった頃に採血とエコー検査にて卵胞の状態を見ます。このときの採血は、卵子の成熟具合の指標になるE2というホルモンを検査します。
卵胞が十分大きくなり、卵子が成熟していることを確認できたところで採卵の日を決め、採卵をします。
その後は受精卵を作り、移植となります。
移植はその周期の中で行う新鮮胚移植と、凍結、融解してから移植をする凍結胚移植があり、最後は妊娠判定の採血です。
これは高温期14日を過ぎた頃、採血にてhCGホルモンが出ているかどうかで判断します。
生理が来たらすぐ予約、生理3日目以内の採血とエコーで決まる採卵の可否
生理3日目以内のホルモン値を採血にて調べるため、生理がきたらすぐに採血の予約をします。
採血にて卵巣が疲れていないか、つまり卵巣が働ける状態かをチェックする為だそうです。
この採血で数値が悪ければ、排卵誘発剤を使っても卵巣に負担をかけるだけで良い卵が採れないということで体外受精は行わず、卵巣を休めるためにタイミングの周期になりました。
次に行うのはエコー検査です
生理中ですが、経膣エコーを行います。
生理3日以内なので卵巣の中には卵胞は見えないのですが、私は未破裂卵胞が残っていて、一周期見送ることもありました。
未破裂卵胞とは、排卵しないまま卵巣内に卵子がとどまっている状態で、卵胞は巨大化し、4cmくらいになります。
高温期の不正出血の原因が大体この未破裂卵胞でした。
特に処置はなく、一周期卵巣を休ませることで卵胞は消失しました。
排卵誘発剤が反応していない?
自然周期では、複数個ある卵の中から主席卵胞1個が成長して排卵し、他の卵胞は消失します。
しかし排卵誘発剤を使うと、普段は閉鎖卵胞となってしまう卵も育てることができるため、複数個エコーで卵胞を確認することができるのです。
私が最初に使った排卵誘発剤は、卵巣に負担のかからない飲み薬でした。
いざエコーをすると見えた卵胞はたったの1個。
これでは排卵誘発剤を使っても使わなくても同じ結果です。
刺激が弱すぎて、たくさん卵胞ができないのかな?と思っていました。
排卵誘発剤の副作用について
私の使ったセロフェンという飲み薬の副作用は、子宮内膜が薄くなることがあるという事。
採卵をするときにエコーにて子宮内膜の厚さを確認をして、薄い場合は受精卵を一度凍結し、翌月に内膜が厚くなったのを確認してから移植をするという形をとりました。
利点は卵巣への刺激が少なく、毎月使えた事です。
体外受精の費用について
料金はかなり細かく設定されています。体外受精をするということは、採卵、精液検査、胚培養、胚移植まで行うということで、一つ一つ料金が決まっていました。
そして、つまずく場所でもあるということが後からわかりました。
体外受精ができなかった場合は顕微授精、複数個受精卵ができた場合は胚凍結、胚凍結をした場合は融解胚移植の料金が別途かかります。
体外受精を複数回行う場合は減免もありますが、初回に用意するよう言われた金額は259,200円でした。
しかしこれは採卵、精液検査、体外受精という採卵日当日に行うことの金額で、卵胞を育てるまでの金額、採卵後の抗生物質の薬代、胚移植前の血液検査、胚移植、胚移植後にホルモンを補充するための薬代、妊娠判定の採血代は含まれていません。
胚移植だけでも54,000円の費用を負担する事になります。
たくさん卵胞ができた時に採卵したい!今回は採卵キャンセル
採卵の料金は1個でも10個でも同じでした。
まだAMHの検査結果が出る前だったので、複数個育った時に採卵を行ったほうが良いと思い、今回はキャンセルしました。
排卵日が予測できるくらいの大きさまで育っていたので、タイミングをとる日を教えていただきました。
AMHの検査で何がわかる?
AMH(アンチミューラリアンホルモン)とは卵巣予備能といって、卵巣内にどれぐらい卵子が残っているかがわかります。数値が低ければ卵子の数は残り少ないという事になります。
排卵の回数が多ければ卵子の数は少なくなるので、20代と40代では40代の方が平均値は低くなります。初潮の早い人、妊娠、出産経験がない人も排卵回数が多い分、卵子の数が減ります。
AMHが低いと妊娠しづらい?
AMHとはあくまで「卵巣内に残っている卵の量を表すもの」であり、
妊娠のしやすさには関係ないとのことでした。
しかし、年齢と同時に卵子も老化していきます。
当時私は35才。
この時点で子供が授かったとしても、すでに高齢出産と呼ばれる年齢でした。
採卵をすれば、必ず胚移植ができるわけではありません。
分割が途中で止まってしまったり、正常に分割しなければ胚移植は行えません。
授精をさせても、分割が始まらないことだってあります。
検卵した時点で卵が未成熟であったり、変性卵であれば授精させることすらできません。
そもそも、卵胞の中に卵子がない空胞という場合もあるので、卵胞の数だけ卵子が採れるとも限らないのです。
AMHが低ければ卵胞がたくさん育たない事は事実です。
たった1個でも卵胞が見えれば採卵してみるしかありません。
4~5個育つ人はいくつか受精卵を凍結させることができるかもしれません。
しかし私はその1個の受精卵ができるまでに何回も採卵をしなければなりませんでした。
体外受精を行う上で、AMHの低さはネックになっていると感じました。
AMH0.1ng/ml未満とはどういう状態?
AMH0.1ng/ml未満とは、閉経している女性がこの数値だそうです。
つまり、卵巣内に卵が殆ど残っていないため、いつ閉経してもおかしくないと言われました。
これ以上数値として表せないのでそういう表記になるそうで、「未満」という言葉が表す量が、0.1に近いか、0に近いかは、わからないということでした。
今までずっと基礎体温は二層性のグラフで、人工授精をした時も卵胞が確認できないことはなかったので、まさか閉経間近とは思いませんでした。
体外受精を控えているのに生理がこない
体外受精をすれば子供ができると思っていたので、早くリセットして採卵をしてみたいと思っていました。それなのに、生理予定日を過ぎてもなかなか生理が始まりません・・・。
全く出血がないわけではなく、夕方になるといわゆる「茶オリ」が下着についているものの、鮮血は出てこないのです。そんな状態が3日続きました。
これが生理かも知れないと思い、一応確認のためにクリニックに電話をかけてみると、看護師から意外な言葉が・・・。
「生理は鮮血が始まった状態を指すので、現在の状態では生理ではありません。妊娠の可能性はありませんか?妊娠検査薬を試してみてください。陰性でしたら、生理が始まるのをしばらく待ってください」と。
まさか妊娠の可能性があるとは思ってもみなかったので驚きましたが、すぐに妊娠検査薬を購入して翌日検査してみることにしました。
妊娠検査薬陽性
妊娠検査薬は生理予定日の一週間後から使用できるものを購入しました。
生理周期から計算すると4週と4日でしたが、翌日の朝妊娠検査薬を試してみると、くっきりと陽性反応が出ました。
不妊治療をしないと子供は授からないと言われ体外受精を心待ちにしていたので、これは嬉しい誤算でした。
突然の出血と一定の間隔で起こる腹痛
喜びもつかの間。
翌日、普段通り洗濯物を干し終えたとき、突然お腹をギュッと押されるように痛み出しました。子宮が収縮しているのがわかったので、力を抜こうと横になったのですが、治まりません。
「流産してしまうかも。。。」
怖くなり、なんとか呼吸を整えようと深呼吸を繰り返しました。
5分くらい痛みが続き、その後何事もなかったかのように引きました。
しかしまた3分ほどで同じように子宮が収縮する痛みが始まったのです。
とにかく力を抜かなければと、また深呼吸をしますが収縮は治まりません。
そしてまた痛みが5分ほど続きます。
これが何度も何度も繰り返されるので不安になり、トイレに行くと鮮血が出ていたので慌ててクリニックに電話をして診てもらうことにしました。
血液検査にてhCGを調べると、ホルモンは出ていたので妊娠という診断になりました。
しかしホルモンの量は十分でなく、これから育っていくのか、それとも流産の徴候かはまだ判断できないということでした。
定期的に起こる腹痛は「陣痛と同じように、体から卵を排出しようとしているのかも知れない。切迫流産の状態です。」と言われ、妊娠を素直に喜べませんでした。
出血をしている間は安静に過ごし、一週間後にhCGが増えているかもう一度検査をすることになりました。
一週間後の採血までの間に、炊飯の匂いで吐き気がする「つわり」を経験しました。しかし、それが受診から5日経った頃から感じなくなったのです。悪い予感しかないまま、採血の日を迎えました。
化学的流産
血液検査をしたところ、一週間前には59.1mIU/mlあったhCGホルモンが2.2mIU/mlにまで減少していたので、いわゆる化学的流産だと診断されました。
厳密に言うと化学的流産は「妊娠反応」が出ただけで妊娠ではありません。
とくに処置はなく、今後生理がきて周期がリセットされるという事で生理が来るのを待つ日々を過ごしました。
化学流産の原因とは?
化学的流産をしてしまったのはなぜか?
私自身がこれから成長しようとしている卵をダメにしてしまったような気持ちになり、深く落ち込みました。
「毎日ランニングをしていたのが良くなかったのか。」
「高温期に乗馬のレッスンに行ったのが良くなかったのか。」
先生の答えは「卵になんらかの問題があったのでしょう。この時期の妊娠は、子供を意識していない人では分からず過ごしている事が多いです。あなたの過ごし方に問題があったわけではありませんよ。」との事。
染色体などに異常がある場合、成長が途中で止まってしまうそうで、それが流産となります。
それは受精の時に決まっていたことなので、どうにもならないそうです。
何か原因があるのなら次からは気をつけられるのに、何もできないことがもどかしくて仕方ありませんでした。
仕事も不妊治療も続けます
初めての妊娠が化学的流産に終わってしまったことは、とても悲しく辛いものでした。
しかし涙を流している暇などありません。
「悲しんでいる時間は勿体ない。一周期開ければ一周期分卵が減るし、卵が老化する。休んでいる間に卵が尽きてしまうかも知れない。」と思い、生理が始まるとすぐ生理3日以内の採血を予約しました。
「毎月採卵できるのなら」と、間を開けることなくクリニックに通い続けました。
初めての体外受精は誘発だけで終わってしまいましたが、何度排卵誘発剤を使っても採卵できる卵が1個だけしか育たないということが殆ど。
2~3周期も続ければ妊娠できると思っていたので、移植までたどり着くことが、こんなに大変だとは想像できませんでした。
今後も、体外受精についての体験談をお送りしたいと思います。