様々な理由で離婚する夫婦がいますが、「不妊」が原因に繋がる事も。
「このまま妊娠できなければ夫は若い人と再婚すれば子供を持てるかもしれない。」
「妻が妊活にのめり込み、口を開けば子供のことばかりで会話がつまらない。」
「妊活サプリを飲んでちょうだい、お酒も控えて、、と生活習慣を強要させられる毎日、、。」
「子供ができれば俺のことはどうでもいいのか?俺は種馬なのかとさえ思うことがある?」
子供が出来なければ、結婚して夫婦でいる意味がないのでしょうか?
このようなお悩みを抱えるご夫婦もいらっしゃいます。
一方で子供がいなくても、夫婦仲の絆が強く、羨ましいほど仲睦まじい夫婦もいます。
夫婦二人での楽しみや生きがいを見つけ、子育ての慌ただしさに追われることなく大人の時間を満喫されています。
「子なし夫婦」のリアルな不妊治療体験談をご紹介します。
目次
女性が妊活に必死になってしまう理由
女性としての産み育てたいと言う本能
30歳半ばも過ぎると、既婚の女性は当然ですが、結婚していない独身の女性ですら、子供を授かる未来を考えたりするのではないでしょうか?
「なぜ子供が欲しいのか?」
長い不妊治療中は、この問いを自分に投げかけることが続き、私も随分模索してきました。
「自分の母のような、お母さんに私もなりたい」
など理由はいくつかあるのですが、率直に言うと・・・
「本能だから欲しいものは欲しい」
という答えが一番しっくりきそうです。
自分の血や想いを引き継ぐ生き物を育てたい、家族と愛を育んでいきたいという気持ちです。
その想い自体は素晴らしい人間らしいものだと思いますが現実には産み育てたいのに授からない現実との狭間で葛藤し、もがき苦しんでいます。
本能が訴える、この「子供が欲しい」想い、このことに私は何度も夢でうなされました。
子供を授かれない、もがく苦しみが、とてつもなく心を締め付け苦しさに襲われるのです。
そして気づけば、寝ても覚めても不妊のことが頭から離れなくなっていきました。
子供がいれば、人生全てがバラ色に見え勝ち組?
逆に言うと、子供がいない人生は生きている価値さえ見えだせない、自分は負け組。まるで人生の幸福が「子供がいるか、いないか」という極端な思考に陥ってしまうことがあります。
これは、男性には理解できないかもしれません。
私の夫をみていても、不妊友達の旦那さんをみても「男性の子供が欲しい理由」と「女性の子供が欲しい理由」は必ずしも同じ理由でなく、子供に執着する度合いや根深さは夫婦それぞれの価値観があると感じます。
女性にとって妊娠すること出産することは自分のアイデンティティに関わることなのかもしれません。
様々な職種でボーダーレスな世の中になっていますが、子供を産めるのは女性だけであり妊娠・出産は女性にとって自分の生まれた性と向き合う、沸き起こる母性本能を再確認することなように感じます。
そして、子供が欲しいのに授からないということは、自分は女性なのに母になれないという劣等感を抱きやすく自分には価値がないのではないかという苦しみに苛まれる事になるのです。
これほどにも生きづらい、子なし夫婦の妻側の人生
育つ家庭で、大人になれば、みんな自然と結婚して、子供がいて当然という・・・そんなファミリー体験を子供時代に無意識に描いて大人になった人も多いのではないでしょうか?
そういった無意識に自分の中にあった生殖ストーリーが、不妊という問題に直面して、もしかしたら自分にはこのまま子供が出来ないままかもしれない、子供時代に思い描いていたお母さんになるという夢が叶えられないことがあるかもしれないと受け入れるようになるには、とても辛い想いを抱えることになります。
街を歩けば遭遇する子供と母親たち、自分には願ってもなれないかもしれないということ、いつかお母さんになる、と決めて大人になってきたのに、お母さんに自分はなれない、とは認めたくない、受け入れ難い気持ちだと思います。
また、さほど本心では子供が欲しいと思っていなくても・・・「周りからの産んでこそ女」という概念にとらわれ「産まない女性はよくないこと」と思いこんでいる女性や肩身の狭い思いを抱えているケースも。
「子供がいない」このことが、なぜ女性をこれほどに辛く苦しく肩身の狭い思いにさせるのか?
理由は大きく二つあると考えています。
一つ目の理由
私たち日本人は何世代も前の時代から、「女性は子供をうむことが当たり前」と擦り込まされてきた背景があります。
現代では考えられませんが、かつての日本では「女性は子供を産む生き物、子供を産むのが女の役目、産めない女性は役立たず」ということが堂々と言われていた時代がありました。
その証拠に日本には「うまずめ」という言葉があります。
妊娠しない不妊女性のことを表す言葉だそうです。
子供の頃、女性は子供を産むのが当然と思ってきた人もいると思いますが、これも社会から擦りこまれていた価値観だったのかもしれません。
二つ目の理由
少子化がどんどん毎年進み、少子化に歯止めをかけるためにも、女性が産まなくてはいけないという社会や周りからの無言のプレッシャーや圧力が産まない女性を生き辛くさせる。少子化問題は女性だけの問題ではありませんが、子供のこととなると周りから干渉されやすいのは女性であり、女性に押し付けられやすい問題でストレスを受けやすいのは女性です。
何世代も前からの女性は子供を産む生き物という固定観念の擦りこみ圧力と現代社会の少子化の向い風の二つが重なり現代を生きる子供がいない女性は、さらに生き辛く苦しさを抱えているのではないかと思います。
子供がいない女性の人生の生き方が分からない
私の周りには沢山の不妊治療仲間はいるのですが、40代後半以降で既婚で子供がいない人生を歩いてる女性のことをあまり知らないことに気が付きました。
テレビなどの芸能人で子供を持たないで人生を謳歌されている女性は沢山いますが、芸能人と自分では仕事や生活がかけ離れていて、参考にならないことも多いです。また、子供がいないということを堂々と宣言する女性も少ないからか、既婚で子供がいない女性がどこにいて、どのように人生を生きているのか、あまり表に出てこないからかもしれません。
不妊治療の主役は妻、夫は協力者という名の傍観者
妊娠するのも女性の体をつかうことになり、不妊治療では主に女性が主体となって通院を行います。それは不妊原因が男性側にあったとしてもです。
そのため精神面でも、肉体面でも苦痛を強いられるのは女性の方がどうしても多くなってきます。通院時間の確保やクリニックの待ち時間が長いこと、度重なる検査、不妊治療が長引けば長引くほどストレスはかなり大きなものになっていきます。
妻が抱えている苦痛を夫が理解し、妻を労うことが上手く出来れば妻の精神的な苦痛も少し和らぐのではないかと思います。しかし残念ながら、不妊治療を頑張る妻を上手に労うことが出来ていない旦那さんが多いのが現実だと思います。
原因が何であれ不妊治療で旦那さん側に出来ることというのはそれほど多くないと思います。
私は時々、散歩や外食など夫婦で一緒に気分転換できることを見つけ、不妊治療のストレスが軽減をはかっています。
花を送る、妻の好きな物をプレゼントしてみる、などなど自分の奥さんは何が喜ぶか考えてサプライズしてみるのもオススメです!
不妊治療を始める前は仲良かった夫婦なのに妊活を始めて不仲になる夫婦
子なし夫婦の中には、不妊治療を始めてから不仲になり離婚という結末を迎える事も。
続いては、不妊と離婚の原因についてご紹介します。
ことあるごとに妊活妊活と口にする奥さんに嫌気がさし離婚したRさん
子供が欲しいという想いが強いのは悪い事ではないのですが頭の中が妊活のことばかりになり、会話の内容も妊活のことばかりになった奥さんに、次第に嫌気がさして離婚したRさん夫婦がいます。
Rさん夫婦の旦那さんが浮気をして離婚になったのですが、旦那さんは「自分の妻は子供が欲しいだけなんじゃないのか、夫である自分を見てくれてない、寂しい」という気持ちになり浮気をしてしまい離婚に至ってしまいました。
旦那さんが不妊治療に協力してくれないことが理由で離婚したTさん
Tさん夫婦は30歳前後で、排卵日前後に性交渉を行うタイミング法を取り入れていました。
Tさんは毎月、排卵日前後は性交渉するため旦那さんに「早く家に帰ってきて ほしい」と常々言っていましたが、Tさんの旦那さんは次第にストレスに感じてきたのか、Tさんの言うことを聞かなくなり・・・。そして、Tさんの排卵日前後でも飲み会を優先したり、仕事で深夜に帰宅することが重なりました。
当然Tさんとしては、月に1度しかない貴重な時にタイミングが取れないとイライラして、帰宅する旦那さんへ怒りをぶつけてしまいました。
タイミングが取れないなら人工授精や体外受精にステップアップしようと話したのですが、Tさんの旦那さんは、「子供が出来ないなら出来ないでもいい、人工授精や体外受精はしたくない、そこまでして子供は欲しいとは思わない」という考えでした。
更に、Tさんの旦那さんはタバコがやめられないでいました。
そんなことも含め、Tさんは旦那さんと離婚する決意を固め、二人で話し合い「子供を持つことへの考えが違う」ということで離婚を選びました。
現在は、新しいパートナーを見つけたTさんですが、不妊という問題に直面しなければ、普通に夫婦の営みをしていて子供が授かれたのなら、Tさん夫婦は離婚しないで済んだのではないか?と悔しそうに言っていたことが私も残念でした。
人工授精や体外受精という言葉の響きが、自然さをイメージさせにくいからなのでしょうか?
私は人工授精は自然に近い、タイミング法となんら変わりがないと思うのですが、人工授精や体外受精に拒否反応を持つ男性は現代でも意外と多いのだなと感じました。
高額な不妊治療費用は誰が出すべき?不妊がお金の問題に発展して離婚したKさん
体外受精ともなると一度に数十万というお金がかかりますし、検査も沢山ありお金は数十万に上ります。
クリニックへ何度も通う交通費もかさみます。
この費用は誰が負担しているのでしょうか?
答えは色々・・・夫婦で話し合わなければいけません。
Kさんは派遣社員で35歳まで働いてきました。
その後、高年収な旦那さんと結婚し、憧れだった専業主婦になったKさんですが、2年経っても妊娠せず不妊原因がKさん側に発覚し不妊治療を始めました。
専業主婦だったKさんは仕事がないため通院は出来るのですが、自分で得ているお金がない為、旦那さんに不妊治療を払ってもらっていました。
始めは子供は夫婦二人の問題なので「お金は払える方が払えばいい」という意識で旦那さんが払っていたのですが、一年に400万を超える出費に旦那さんも驚いたことでしょう。3年続けたころには1000万を費やしていましたが妊娠は出来ませんでした。
旦那さんが趣味でやりたかった事にもお金をさけなくなったことや、仕事で忙しい旦那さんと普段は一日中家にいる奥さんとの間でしだいに心のすれ違いが生じてきたようです・・・。
奥さんも話し相手がなくストレスがたまっていたこと、経済面以外でも、通院を付き添って欲しい、不妊治療にもっと協力してほしいとお互いストレスが溜まっていたのでしょう。度々口論が起こるようになりました。
Kさん夫婦は「不妊治療費用をどうやって捻出するのか、これ以上不妊治療費用にいくらまでかけるのか」このことに日々悩まされることになりました。
毎月数十万とくる請求書に旦那さんも思わず「えー!また、こんなにかかるの?!先月も70万支払って口座が残高不足になっちゃったんだけど」と驚きつい言ってしまう言葉に、Kさんは肩身が狭い想いをしていました。
Kさん自身もKさんの旦那さんもそんな毎日に疲れたのでしょう。後に彼女から私に「不妊治療はもうこりごりだ、離婚した」という報告が残念なことに入りました。
妻である私は、不妊治療費を負担しています
私の夫は体外受精を嫌がったため、高額な費用まで夫に請求すると体外受精に反対され体外受精が出来なくなる事、そして私の周りの夫婦は女性側が負担しているケースが多かったという事、夫だけの給料では高額な費用が払えない事などの理由から支払いは妻である私が負担しています。
夫一人では払いきれない高額な治療費用は、妻が働いて不妊治療費用に充てるというパターンの夫婦も少なくはありません。
女性は不妊治療と仕事の両立は難しく仕事を辞めようかと悩みますが、仕事を辞めたら治療費用が払えなくなるというジレンマに陥ります。そのため多くの夫婦では気づくと、妻は不妊治療費用を稼ぐために働いています。
令和3年から特定不妊治療費の助成金が大幅に拡充や、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境の整備など、妊活・不妊治療に対する理解、配慮が深まっていけばいいなぁと願うばかりです。
子無し夫婦あるある。子供は既にいる?実は夫は大きな子供
「子供が出来なくて・・・」と嘆く不妊治療患者の夫婦を見ていると、共通していること「子無し夫婦あるある」が発見できます。奥さんが母親で旦那さんが子供のケースがよくあるんです。
奥さんが、旦那さんのお世話をかいがいしくしていて、奥さんに甘えている旦那さんが多い事や、旦那さんには「自分の奥さんは悩みを聴いてくれる自分専属カウンセラー」になっていると耳にする事も。
かくゆう私の場合も、夫は私の子供なんじゃないかと思うくらい、私に甘えていることがあります。具体的には、私の夫はお惣菜や冷凍食品を嫌がり食べないので、ランチ以外は私が手作りしています。始めは呆れていた私ですが、きれいに食べてくれたお皿を見ると、とっても嬉しかったのを覚えています。
子供がいなくて不妊治療をしている間は、不妊治療のことばかり頭の中は考えてしまうと思うんですが・・・。
「夫が喜ぶからという動機で今日は何を作ろうかな?」と考えるのが気分転換になって、子供じゃなくても夫という家族がいて、私は家族のためにご飯を作るんだという気持ちで救われたことがあります。
妊活が子なし夫婦二人のレジャーに?
初めは妻がリードして夫はいやいやながらついてきて不妊治療に参加するという形で始まった私達夫婦の不妊治療ですが、2度の流産を終えた頃に妊娠反応が出たら二人で泣いて喜び、流産宣告を受けたら妻と夫が同じようにショックを受け泣き落胆し、気持ちは同じなんだなと感じました。
また、まるでお互い鏡を見ているかのように夫婦の気持ちが揃っていることも感じました。
そして時々夫婦一緒に受ける診察では
「あの先生の話し方が面白いね」
「クリニックの近くのあの美味しいお店で食べて帰ろう」
etc・・・
不妊治療で遭遇することが会話のネタになったりして不妊治療という活動を通じてひとつのレジャー化してきたように思います。
妊活(苦難)を共にすることで、かけがえのない唯一無二のパートナーになっていく
不妊治療というと、心がジェットコースターのように不妊治療に振り回され、精神的にも、身体的にも辛いことが多いのです。
しかし、少し時間がたち振り返ってみると夫婦にとっては「子供が欲しいと共通意識のもと苦難を経験し乗り越えようと力を合わせることや同じ方向に協力している」事で二人の絆が深まっているように感じます。
実際に私の夫も、不妊治療をする妻の私を見て、どんなに辛くても泣きながらでも諦めずに七転び八起で不妊治療に立ち向かう姿に驚いていました。
女性という生き物はこれほどにも不妊治療や子供を持つことに熱心に取り組むものなのかと女性の偉大さを感じていると話してくれました。
妊活中の心の整え方が夫婦仲に良好に保つ秘訣
妊活中の心の整え方は私には、とても難しい問題です。
不妊うつになられる方やお仕事を休業される方も実際にいらっしゃいます。
私自身こんなにも不妊治療が長引くとは思っていませんでした。
そして上手くいかない時間が長引くと疲れてきます。
私なりに努力してきた結果なのですが、それでも、こんなにも、うまくいかないとは、結果が出ないなんて、と途方に暮れました・・・。
不妊治療の辛いところは「努力したから報われるというものでは、ないから」です。
どんなにお金を積もうと、どんな血のにじむ努力をしようと、ダメなものはダメ、人の生命に関することは、人知の及ばない、どうしようもないことなのです。
私も、こんなに頑張ってるのにどうして妊娠できないのか、これ以上どうすればいいのかと、うなされて眠れない日々が続きました。
流産を経験した時は一度は陽性で喜んだのもつかの間で・・・一週間後には流産宣告をされて地獄に突き落とされるという経験をした時には心がパニックになり不妊治療の闇に入るという状況でした。
そんな私が少しでも不妊治療のストレスを減らすためにやってみたことはカウンセリングです。
カウンセリングを利用して今の自分がどれほど衝撃的なことを経験し心がダメージを受けているかなど、状況を私は客観的に眺めることが出来ました。
今は前向きにもならなくていい、ただ自分を責めないこと、を自分に言い聞かせていました。それでも気分が滅入ったり塞ぎ込む日が多いので体を動かして考えすぎないよう過ごしています。散歩に行くことで季節の草木に自然を感じることで心が穏やかになり心が闇に落ちるのを予防することに役立っています。
努力でどうにかなる問題ではないこと=私のコントロールできないこと
だから、結果は天に委ねるしかない、
私に出来ることはやっている、その上での結果は天からのメッセージだと受け止めようという考えに次第にシフトされていくようになりました。
子なし夫婦のリフレッシュ法は人それぞれなので、お二人に合ったリフレッシュ法が見つかることを願っています。