不妊退職という言葉をご存知でしょうか?
不妊治療妊活と言ってもタイミング法や人工授精体外受精など方法はいくつかありますが通院の回数などそれぞれの方法では異なります。
しかしながら、共通している事は「不妊治療と仕事の両立の難しさ」です。
「仕事を休みたくて休んでいるわけじゃない。」
「度重なる通院で毎回休みを申請するのが申し訳ない気持ちになる」
「有給をもらってクリニックへ通院、次回の通院のために明後日も有給申請しなくてはいけない」
「仕事のシフトを代わってもらえず、その周期は不妊治療を諦めることになった。それまでの1か月、その周期に使用した薬代も治療代も全て無駄になった」
「仕事を優先していると不妊治療クリニックに通院できなくなる、だけど不妊治療費用が高額だから仕事をしないと不妊治療費用が払えない」
不妊治療をしている多くの方が、このようなジレンマの中で不妊治療と仕事の両立ができず、妊活が理由で仕事を辞めざるをえない不妊退職を余儀なくされている女性は多くいらっしゃいます。
今回は、不妊治療と仕事の両立に関する体験談を掲載しています。
目次
不妊治療のリアルな現実
不妊治療と仕事の両立によって、立ちはだかる壁についてまとめてみました。
仕事を突然休まなきゃいけなくなる理由
タイミング法や人工授精で本当によく起きがちなことなことの一つに「仕事を急に休んで通院しなくてはいけない」事があります。
生理終了後から卵胞が徐々に育っていきますが、排卵時に性交渉を持つタイミング法or人工授精を行う周期では卵が何ミリまで育っているのか一週間に2、3回通い卵の発育状況をこまめにチェックする必要があります。
同じ人でも、いつも同じペースで卵胞が発育するわけではなく、その周期毎に卵胞の発育スピードも違いますしホルモン値も異なります。
「明日もう一度クリニックに来て卵の状況をチェックしましょう」そう医師から告げられるとスケジュール変更を余儀なくされます。
タイミングをとる日や人工授精日が決定するまで通院する事になるのです。
2,3日おきに通院で仕事を休まないといけない理由
先ほどのタイミング法と同様、体外受精の採卵周期も急に来院日が必要とされる日もあります。
採卵周期は複数の卵胞を育てるため、卵が育つようにホルモンが入っている注射をてして卵を育てます。
自分で注射を毎日行い2、3日おきにクリニックへ通院をしては、卵の大きさや数、ホルモン値を2週間ほどをチェックしていきます。
その後ベストな採卵日を決定するので、通院が必要となり連日仕事をお休みする事となります。
不妊治療は仕事より優先しないと続けられない現状を理解していない社会
不妊治療は卵が主役であり、卵様様なのです。
ですが、この事は不妊治療を経験した当事者でないと分からないことです。
卵胞の状況により突然、仕事を休みクリニックに行かないといけないこともあります。
更に、2、3日おきに休みを取って通院しないといけないことがある・・・。
また、薬が合わなくて体調がすぐれないという日もありますし・・・。
このような理由で、仕事と不妊治療は両立しにくい現実なのです。
仕事をやめた女医Rさんのケース
医療業界で働く女医さんで、不妊治療に専念するために職場を退職した女性がいます。
仕事にやりがいを持ち働いていたRさんですが、急な休みというのが、やはり勤務を続けられない大きな理由のようでした。
管理職だった女性が不妊治療を理由に降格、異動させられたNさんのケース
不妊治療がきっかけで頻繁に休みを取るようになり、会議も欠席することが多くなったNさん。
上司から呼び出され、Nさんは上司に不妊治療を打ち明けると、その数か月後、社内会議でNさんの降格が決まり部署異動を余儀なくさせられたそうです。
正社員での仕事を辞め、パートになったKさんのケース
大学卒業後、ずっと勤務医して来た職場を不妊治療の通院の休みが頻繁にもらえないという理由で退職せざるをえなかったKさん。
仕事をやめ、気兼ねなく通院は出来るようになったものの、経済的な面で苦しむようになり近所のコンビニでパートを開始しました。
不妊治療と女性のキャリア
彼女たちは学生時代懸命に勉強し掴んだキャリアだったのですが、不妊治療と仕事の両立の壁に悩み、築いてきた仕事を手放さなくてはならい状況になったのです。
仕事を続けながら不妊治療したかった彼女たちですが、両立が難しく悩んだ末、仕事よりも不妊治療を優先させないと不妊治療は出来ないため、それまでの仕事を手放したのです。
テレワーク導入など働き方改革が叫ばれてきた昨今ですが、ギリギリの人数で人手不足の職場も多く、不妊治療でなくても、そもそも有給休暇が取りずらい職場がまだまだ多いのが現実のように思います。
職場は様々な世代、性別、価値観の方がいると思いますし職場に、不妊治療してることを言いたくない人もいると思います。
社会がもっと不妊治療やプライベートな事情に理解ある社会になることを願ってやみません。
不妊治療のことで頭がいっぱいになり仕事に集中できない時もある
不妊治療中は、複雑な心の揺れ動きがあり、迷いや不安、後悔などの気持ちになることも多いです。
その結果、不妊治療のことが頭から離れなかったり、不妊治療の結果にショックを受けたり、など、目の前の仕事に集中できない時もあります。
これは不妊治療をしている人に少なくなく、不妊治療と仕事の両立が困難になりやすい原因の一つかもしれません。
会社を辞めずに不妊治療をするために
不妊治療と仕事の両立を支援する企業が増えてきた
不妊治療が原因で仕事を辞めざるを得ない人たちも多いですが、これでは企業にとっても大きな損失になります。
企業側も不妊治療する社員を応援するため、不妊治療を目的としてのフレックスタイム制を導入するなど不妊治療と仕事が両立できるように環境を整え始めた企業も増えてきています。
また、不妊治療のための休職制度がある企業もあります。
自分の会社にはないという方も多いとは思いますがそういう方は是非、仕事と不妊治療の両立に困ったらフレックス制の導入を志願することや休業を相談するなど、退職をする前に一度ダメ元でも相談を行ってみてはいかがでしょうか?
一年半の休業をもらえたMさんのケース
私の知り合いのMさんは遠方のクリニックに通院したいという希望もあり、会社に一年半の休業願いを出しました。
ダメ元で会社に相談してみたら見事!一年半の休業を認めてくれたそうです。
その後、Mさんは会社に感謝しながら思い切り遠方通院をして見事、妊娠、出産に至りました。
「そんな手があったのか!」と私自身も参考になりました。
不妊治療にかぎらず誰の人生にも子育て、介護や家族のこと、仕事以外のライフイベントが多々あります。
プライベートと仕事の両立が困難になった時は、辞める前に職場に思い切って相談してみる事で解決方法が見つかる可能性もあるかもしれませんね。
不妊治療は期間限定のため不妊治療と仕事が両立しやすい社会を目指してほしい
不妊治療は永遠に続くものでもありません。
生殖可能な年齢(個人差はありますが40代まで)の時だけです。
期間限定のことなので、企業側も社員が不妊治療が原因で退職することを避けられるよう柔軟に対応策を取り入れて頂けることを願っています。
その結果、社員と企業の関係が築け好循環し、女性が働きやすい理想のビジョンが現実となるのではないでしょうか。