旦那様の職場は大丈夫?育休を取りたいイクメンを阻む「パタニティハラスメント」とその影響


これまで、マタハラと逆マタハラという、妊娠中そして出産後も仕事を続ける女性と、その勤め先間で起こる可能性のある事象についてお話しをしてきました。が、実はこのタイプのハラスメントは、女性のみならず男性にも起こる事をご存知ですか?

女性の母性という意味のマタニティ(Maternity)に対する嫌がらせがマタニティハラスメントと言われるのに対し、男性には父性を意味するパタニティ(Paternity)に対する嫌がらせ“パタニティハラスメント”というものがあります。

政府やメディアはイクメンを支持していて、世の中はイクメンで溢れている!?と一見思われる現代ですが、実際のところはどうなのでしょう。

今回は、パタハラとはどんなものなのか、男性の育児休暇制度(育休)はどんなものなのか、そして世のどれくらいの割合の男性が育休を取れているのか、妊娠中の妻そして生まれた赤ちゃんの面倒を見る、働くお父さん達に関するお話しです。

「実際に会社である“パタニティハラスメント”の内容は?」


パタニティハラスメント、通称パタハラの内容は、基本的にはマタハラと似ています。

つまり、育休を取得する事で出世コースから外すと言われたり、長期で休みを取るなんて迷惑だという意の発言をされたりして、育休を取りにくい雰囲気が作られるというのが主なもののようです。

ただ、女性の場合は実際に妊娠をしていて、時に体調を崩す事もあったり、力仕事が出来なくなったりと、周りも自然と手を貸してくれる事も考えられます。

しかし男性の場合は、妊娠しているのは本人ではなく妻の方。故に、嫌がらせ発言の内容が、女性のそれとは少し違います。少し例を挙げてみましょう。

  1. 上司から
  2. 子育ては女性がするものだろう?どうして男のお前が仕事を休んでまで育児をするんだ?しっかり稼いで家族を養ってこそ男ってものだろう!

  3. 同僚から
  4. 育休なんて長期休暇を取ったら、完全に出世コースからは外されませんか?それじゃ給料も上がらないし、結果的にちゃんと家族を支えられなくないですか?それ男としてどうなんですか?

長期の育休を取得したい、また、子どもが熱を出して今すぐ会社を早退し保育園に迎えに行かなければならない、等の状況で特に発せられる言葉です。

かつてのベビーブーム期に生まれた子どもが成長し仕事をするようになった時、日本は働き手が多くいました。その時期を人口ボーナス期と呼びます。そしてこの時期は、工業等の産業がさかんになり、工事現場等で力仕事が出来る男性が多く働いた方が経済の成長には良いと言われています。まさに日本の高度経済成長期です。

しかし今は真逆の状態。少子化が進み、働き手が減っています。これを人口オーナス期と呼びます。この時期は、工業等の力仕事メインの産業よりも、効率的にいかに頭を使って生産性を高めた仕事をするかという働き方が、経済の発達に役立つと言われています。

働ける人口が昔に比べるとそもそも減っているわけですから、男だから女だからと言っている場合では無いと言うのが現状と言えます。

しかし、上司がベビーブームに生まれた世代、もしくはその少し下の世代の場合は、なかなかその変化についていけないという場合も多いでしょう。つまりはTHE昭和の考えとも言えますね。すると、上記のような発言が出やすくなってしまうと考えられます。現代社会ではこれらはパタハラとして認識されます。

「そもそも男性の育児休暇制度ってどんな内容?」


基本的に、妻と共働きの場合、妻が育休を取得していようが無かろうが、更に妻が専業主婦で共働きでない場合も、男性の育休は取得可能です。

子供が1歳になるまで(共働きの場合は1歳2か月まで)取得ができ、妻の出産後8週間以内に取得した場合は、特別な事情がなくても申出により再度の育休取得が可能な“パパ休暇”という制度もあります。

子どもが生まれた直後は、お母さんの身体は回復期で大変。そんな時、旦那様が家の事を手伝ってくれたり、子どものおむつ交換を手伝ってくれたりすればとても助かりますね。

また、子どもが3歳に達するまでは短時間勤務の措置が取られたり、小学校就学前の子どもが居る場合、またその人数に応じて看護休暇制度や時間外労働の勤務の制限をしたりなど、様々な義務又は配慮が会社にはあるのです。

「実際に育休を取得出来ている男性はどれくらいいる?」


 「こんなに充実した制度があるなら私も出産の時は旦那に協力してもらえて安心!」と考える方も多いかと思いますが、気になるのが 「実際にこれらの制度を利用できている男性社員が世の中にどれくらいいるか?」と言う事です。ここでは、育児休暇の取得率を見ていきます。

 厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、2016年度の女性の育休取得率が80%以上であるのに対し、男性は3.16%とかなり低め。それでも、1996年から毎年行われてきた調査の中で最高水準の数値だと発表されました。

やはり、前出のような「男が稼いで家庭は女が守るべき!」という考えがまだ根付いていると言えるでしょう。

厚生労働省は、2020年までに男性の育休取得率を13%にするという目標を持っていますが、その達成は見込めないと言われています。

国も必死ですが、なかなか気持ちよく賛同してくれる会社の数は多くないようです。

しかしこれらが正に、育休を取りたいのに会社の雰囲気的にそんなの無理だ!と言うようなパタハラが、多く起こっているという現状とも言えるのではないでしょうか。

「旦那が会社でパタハラに遭った場合はどうする?」


やマタハラ同様、厚生労働省は男性の育休取得に関しても、会社はその権利を社員に与える事、そしてその権利を阻害するパタハラの防止措置も義務付けています。

万が一ご主人が育休を取得したくても、会社の中でそれを阻む行為や発言があった場合には、マタハラ同様、社内の相談窓口へ申し出ることが可能です。

それでも改善されない、もしくは聞いてもらえない等の場合は厚生労働省の専門部署へ直接相談また男性の子育てに関する情報満載のウェブサイト「育メンプロジェクト」で情報収集してみるのも良いかもしれません。

<厚生労働省 雇用環境・均等部>
http://www.mhlw.go.jp
/※勤務している会社の監督をしている労働局雇用均等部に問い合わせましょう。

<育メンプロジェクト>
https://ikumen-project.mhlw.go.jp/

「まとめ」

今の日本は豊かで安全な国。そのような国を作り上げたのは、高度経済成長期に頑張ったお父さん達の存在があるのは紛れもない事実と言えるでしょう。だからこそ、上司や同僚からその考えが抜けないと言うのも、ある意味普通なのかもしれません。

また、中には妊婦の妻を持つ男性自身がそのような考え方の場合もあるでしょう。しかし現代社会ではそうばかりも言っていられません。それなのに、育休を取得しにくい、旦那さんの協力が無いと子どもを育てていくのは難しい。などの理由で妊娠を諦める女性すらいると聞きます。これでは更に人口は減り、つまりは未来の働き手が減り、しいては日本を支えてくれる人が減ってしまいます。

そうかと言って「自分が育児を手伝えない分好きなだけベビーシッターを雇って良いよ。」などと言える方ばかりではないのも事実でしょう。

今後は、男性も育児に参加する事が必然的だと言っても、過言ではないと考えらえられます。

パタハラは単にハラスメントと言うだけではなく、今後の日本の未来を考える上でとても密接なものと言えるでしょう。ご主人と会社の意向がどんなものなのか、話し合ってみるのも、良いかもしれませんね。夫婦力を合わせて子育てをしていけるよう、応援しています。

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ABOUTこの記事をかいた人

ロサンゼルスで幼児教育を学び、帰国後は都内のインターナショナルプリスクールに勤務。現在はインターナショナルスクール生徒専門の家庭教師、大人向け英会話そして外国人向け料理教室を主宰。現代社会における働き方の変化、そしてコミュニケーションに関する情報を発信している。