不妊治療を進めていく中で、さまざまな悩みを抱えることがあると思いますが、その一つにお金に関する問題があります。
今回は不妊治療にまつわるお金の悩みについて振り返ってみたいと思います。
不妊治療費、平均はどのくらい?事前に目安を調べながら考えた
当時、私が受けた主な治療の大まかな費用や、現在の保険適応について、また実際に利用した不妊治療助成金についてご紹介します。
私が受けた不妊治療、実際にかかった費用は?
私は約5年間、不妊治療をしていました。当時、不妊治療は保険適応ではなく、自己負担での診療となります。
しかし化学流産が続く中で、不育症検査の採血検査4万円、転院し再検査を行ったため、不育症検査は採血だけで10万円近くの費用が必要でした。
1回に窓口で支払う金額が大きくなり、お金の不安が少しずつ大きくなっていきました。
これに加え、病院を受診するためには、毎回の再診料や交通費なども加わります。多い時は週に何度も受診することになるので、治療費以外の小さな出費も積み重なります。
その後体外受精へとステップアップし、私は採卵を1回、顕微授精を経て移植を2回行いました。おおまかに採卵と受精に関する費用は60万円、移植は1回15万円ほど必要でした。
体外受精の採卵や移植の際、さまざまなホルモン薬等を使用しますが、これらもすべて自費診療となり、薬代だけで数万円になることも多かったです。
凍結した受精卵の保存にも移植するまで費用はかかります。
不妊治療は予想外の出費の連続でしたが、病院で聞きネットで情報を集めながら「この治療はいくらかかるのか」と常に考えていました。
現在、不妊治療は保険適応に、高額療養費制度にも対応できる治療へ
2022年4月から不妊治療は保険適応の対象となり、窓口での自己負担は3割となりました。
症例や病院によって違いはありますが、下記の内容が目安になっています。
- 人工授精:1万円前後
- 体外受精:約10~20万円
また保険適応であることから、不妊治療にも高額療養費制度が使えます。
高額療養費制度は、限度額適応認定証などの申請をすることで、ひと月の窓口の支払いが自己限度額で済みます。
不妊治療には、特定治療支援として助成金が使える場合もある
私が治療を受けていた当時は保険適応ではなかったものの、不妊治療は特定治療支援として自治体から助成金を受けることができました。
居住地域や所得などによって異なりますが、私の場合は病院での治療の証明と役所への申請によって助成を受けることができました。治療費の一部分ではありますが、大きな出費が重なる中でとてもありがたかったです。
不妊治療が保険適応となった現在も特定治療支援として制度を続けている自治体も多いようなので、ぜひ調べてみることをおすすめします。
不妊治療のお金、どう工面する?お金の悩みがストレスにもなった
不妊治療は想定外なことの連続で、いつも計画通りには進みません。
お金の面においても「続かないかも」と不安やストレスになってしまうことが多々ありました。
不妊治療は価格表通りには進みません、当時の状況と対処法をお話します。
ステップアップ前に退職、貯金の残高がみるみる減っていく
不妊治療を始めたころは仕事をしており、タイミング療法であったため、費用の負担は小さかったです。
しかし、化学流産が続き、不規則な病院勤務を続けながら不妊治療を両立することに次第に限界を感じました。
そう予測しつつも、30歳前後という大事な時期であることから後悔したくないと思い、不妊治療に専念するために、退職することを選択しました。
少しばかりの貯金や退職金もあり、しばらくはゆっくり進めようと考えていました。
しかし見通しは甘く、治療はステップアップし出費は増えます。それに加え引っ越しや免許取得など大きな出費のタイミングも重なり、予想以上の出費を生活しながら捻出することが負担に感じました。
私は普段クリニックの支払いはクレジットカードを利用していたのですが、一度、支払い機器の故障のため窓口で現金払いになった時がありました。
多くの患者さんが封筒に入った札束を出して支払っているのを見て、いつもはカード利用で実感が薄かったのですが、こんなたくさんのお金を使う治療なのだと印象に残りました。
お金の不安はストレスに変わり、そんな日々を過ごす中で、また仕事をしたい気持ちにもなり、頻繁に通院しない時期は単発の仕事をスタート。
好きな仕事で気分転換にもなり、精神的にも、お金の不安も少し軽くなりました。
私の場合は、この1~2年休職しお金を貯めたとしても、その間にさらに妊娠しにくいコンディションになるのが不安で治療を休む事は選択しませんでした。
治療の局面が変わるたび、夫婦で経済的なことを話し合った
不妊治療をするうえで、経済面についても夫婦の考え方や認識は共有しておくことが大切です。
我が家は、経済的なメインは夫が担っていたので、不妊治療でたくさんお金を使っていることを申し訳ないという気持ちが私にはありました。例えばこれまでは、ボーナスが出たら何か欲しいものを買ったり旅行を計画したりしていましたが、
私もその一人であり、そんな空気から夫に我慢させているのではないかと心配になることもありました。
夫:「お金は必要な時に使うものだから、先のことを心配してもしょうがない」
人口授精や各種の検査、体外受精とステップアップするたび話をしました。
そんな中でも、夫は、気分転換に旅行を計画してくれたり、美味しいものを食べに私を連れ出してくれました。明るい考え方が、不安になり過ぎる私の気持ちを前向きにしてくれました。
不妊治療、ムダなことは一つもないと心に決めた
不妊治療を受けたからといって必ず赤ちゃんを授かれるわけではありません。できる治療を全て受けたとしても、現実的にできない人もいるわけで、自分もそうかもしれません。
しかし、自分たちにできる治療手段があり、赤ちゃんを授かるために受ける治療なので、もし諦めることになっても、受けた治療やお金がムダになってしまったとは絶対考えないようにしようと決めました。
不妊治療のための医療保険、知っておけば良かったこと
私は不妊治療中に退職したこともあり、医療保険の見直しを行いました。
すると治療によって医療保険にもさまざまな制約が出てしまうことが分かりました。
色んなサービスや制限もあるため、治療と同時にチェックしてみましょう。
見直しのタイミングは大切、不妊治療の状態も詳しく申告した
私は独身時代から医療保険に加入していましたが、結婚・退職など生活が大きく変化したため保険の相談から加入までサポートしてくれる窓口を利用して保険の見直しを行いました。
妊娠希望でなければ使用することもないし、甲状腺の値も成人の正常範囲内で健康に問題があるというわけではありません。それでも、やはり内服治療をしている点で、卵巣や子宮、甲状腺に関しては病気と同じ扱いになり、加入が断られる保険会社もありました。
新たに加入した保険も、最初の5年間は卵巣・子宮・甲状腺の病気に関しては、保障が受けられないという条件付き。子宮の病気の扱いになるため、異常妊娠や帝王切開での出産も私の場合は対象外です。
妊娠後に、妊娠糖尿病の診断を受け入院したのですが、医療保険は利用できず、仕方ないことですが残念に感じました。
不妊治療に対応できる医療保険もあること
最近では、女性特有の疾患だけでなく、不妊治療をもサポートしてくれる保険もあります。
健康に過ごせて利用しなくてもいいのが一番ではありますが、いざというときの助けや安心感にはなります。
見直しや入り直しまでいかなくとも、ご自身が加入している保険の内容について一度詳しく確認しておきましょう。
妊娠・出産後にもお金は必要
不妊治療が保険適応となり、自己負担が軽くなったことで、経済的な理由で諦めていた治療ができるかもしれません。
とはいえ、実際に生活しながら不妊治療費を捻出する負担がゼロになるわけではなく、状況や価値観によってお金の不安やストレスを感じることは多いと思います。
治療費用や支援についてもしっかりと調べ、治療を受ける体制を夫婦で共有し整えながら進めていけると良いですね。