初めての妊娠、経過もよく安定期には夫婦で旅行に行ったりと、マタニティライフを穏やかに楽しんでいました。
里帰りをし、希望の産院で出産する予定も進めていました。
いつもより診察が長いなぁと感じていると・・・
「お話があるので待合室でお待ちください」
と告げられました。
ですが、今まで異常を指摘された事はなかったのであまり深刻に思っていませんでした。
「赤ちゃんの胸に水が溜まっています。」
「治療が必要かどうか、大きい病院でみてもらってください」
と指摘され、大きい病院への転院を余儀なくされました。
胎児胸水の疑いがあると告げられ、紹介された病院での受診日まで、一日中検索し落ち込んだ日々を過ごしていました。
「お腹の赤ちゃんの胎動はしっかりしていてとても元気なのに・・・」
信じられない気持ちでいっぱいでしたが、おなかの中の赤ちゃんと共に胎児治療を乗り越え出産する事ができました。
今回は、「胎児胸水」の原因や治療法、妊娠30週から転院し入院、そして帝王切開で出産した際の体験談をお話します。
目次
胎児胸水の原因と治療
胎児胸水は、胎児の胸に異常な体液が貯留する疾患です。
約1万出生の妊婦に1例と言われています※。
また、病院では以下の原因があると資料を提示され説明を受けました。
- リンパ管の異常
- 先天性疾患
- 腫瘍性病変
- 染色体異常
- 感染
- 貧血
- 代謝性疾患
大量に胸水が貯留すると、胎児の食道や心臓や肺などが圧迫され、肺の形成が阻害されたり、循環器障害を引き起こしたり、重症の場合全身の浮腫が進行し、予後不良となる場合もあります。
その場合は、経過観察となります。
ですが、私のおなかの赤ちゃんは、胸水が自然に減っていくことはなく、治療が必要となりました。
参考:※日本胎児治療グループ
染色体異常の可能性と羊水検査
胎児胸水の原因として、ダウン症などの染色体異常の可能性のお話を聞きました。
もし染色体異常があっても人工中絶時期は過ぎており、知ったからといってなにかが変わるわけではありません。
夫婦でとても悩みましたが・・・
と思い、検査しましたが異常はありませんでした。
妊娠を継続しながら胎児治療を行う
34週まではできる限りおなかの中で妊娠継続し、胎児治療を行う方針が決まりました。
正直、治療の説明を聞くと怖くなりましたが、お腹の中の赤ちゃんの為に「やる」という選択しかありませんでした。
おなかの赤ちゃんは、下記の2種類の治療を行いました。
- 胎児胸水除去術
- 胎児胸腔羊水腔シャント術
1回の胎児胸水除去術、2回の胎児胸腔羊水シャント術
1回目は胎児胸水除去術を行いました。
胎児の胸水を除去して成分の検査と、その後の経過をみて再度貯留するか様子をみることになりました。
しかし、数日後お腹の赤ちゃんの胸水は再度貯留してきました。
2回目より胎児胸腔羊水シャント術を行いました
母体の腹壁から胎児の胸腔へ穿刺後、カテーテルの管を留置し、胎児の胸水を母体の羊水内に持続的に排出するという治療です。
その後、再度局所麻酔下で、赤ちゃんの胸部をエコーで確認しながら、カテーテルを留置します。いい位置に留置できるよう何度もやり直す必要があり、そのたびに痛みを伴いました。
自分自身もお腹は青あざだらけ、穿刺した痕でいっぱいでしたが、我が子に注射する様子もカテーテルで挿入する様子も、エコーで実際に見ることができます。
刺をすたびにかわいそうで、「痛くないかな?」「ごめんね、頑張れ!」と心の中で伝えていました。
胸水の増減に一喜一憂、羊水過多で苦しい入院生活
1回目のシャントを留置したものの、胸水の溜まる勢いが強いためか、カテーテルの管も細く、シャント不全で詰まってしまい、2回目のシャント術を行いました。
シャント術終了後は定期的に子宮収縮による張りで痛みがみられ、マグセントとリトドリンという子宮収縮予防の点滴も入院中24時間行っていました。
また、赤ちゃんの胸水が私の羊水に排出されるため羊水過多で圧迫感と息切れがあり、点滴の副作用による頭痛と動悸で、入院中ベッドで横になって過ごすことが多かったです。
妊娠35週で赤ちゃんが限界になり帝王切開で出産
妊娠34週までは胎児治療し、その後できるかぎりお腹の中で様子をみることに。
入院当初より、エコーで見た状態や、赤ちゃんが苦しいサインをだしたら緊急で出産の可能性があるといわれていました。
赤ちゃんは、生まれた瞬間、一瞬産声をあげました。喜びと安堵で涙が出ました。
「お母さんも赤ちゃんも頑張りましたよ。」
助産師さんに我が子を一瞬見せてもらい、すぐに人工呼吸器を装着されNICUへ行きました。
NICUで治療開始
胎児治療という高度な治療によりおなかの赤ちゃんと共に、出産まで頑張ることができました。
現在の医療技術がなければ我が子は、生きることが難しかったと思います。
後編はNICUでの体験談となります。
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