一緒にお散歩をしたり、食事をしたり、発する言葉の数も増え、会話も楽しくなってくる2歳頃。可愛いだけでなく、一緒の時間が更に楽しくなってくる時期ですよね。
しかし!同時にこの時期は多くのお母さん達が恐れている時期でもある事でしょう。
その理由は、そう「イヤイヤ期」です。
何を問いかけても、イヤ!という言葉で返されてしまうという時期ですが、これはもちろん万国共通。筆者がアメリカでベビーシッターをしていた時、保育園で働いていた時も何人ものイヤイヤ期を見てきました。
アメリカではこの時期の事を「Terrible Twos(テリブルトゥース)」と言います。Terrible=辛い、とても大変などの意味と、Twos=2歳児という言葉。つまり、2歳児は大変!という事ですね。
では、どうしてこの時期は必ずと言って良い程ほとんどの子どもにあるのか、そしてこの時期にお母さんが出来る事はどんなものなのか、今回はイヤイヤ期を考えてみたいと思います。
目次
何故起こる!「イヤイヤ期」!ポイントは自我の目覚め
まず、お話しが上手になって来てはいるけれども、自分の伝えたい事を100%完璧に言葉を使って人に伝える事は出来ない。というのが2歳頃です。
自分の言いたい事がちゃんと伝わらない、という状況にイライラを覚え、相手の問いかけに対してイヤと答えしまうという事。そしてなかなか伝わらない状況が続くと、そのイライラは更に高まり、遂には自分がそもそも何を伝えたかったのかすら忘れ、とにかく全てに対してイヤイヤ!と反抗してしまうという事が考えられます。
相手に伝えたい事が伝わらない事実へのイラつきを覚えるというのは、つまり自我が目覚めている証拠でもあります。そしてこれは、言葉だけではありません。
例えば、紙パックのジュースにストローをさすという行為を考えてみます。今まではお母さんがやってくれて当たり前だったその行為を、自分でやってみたいと思うようになります。しかし、こちらもまた言葉同様、なかなかストローが刺さらない、ストローがポキッと折れてしまったなど、大人がやるようにスムーズにいきません。
このように、やってもらって当たり前だった事を、自分自身でやってみたい、伝えたいという自我の目覚めに対し、出来ない、伝わらないという現実。このズレが、イヤイヤ期の大きな原因と言われています。
しかし、これは子どもにとって非常に重要な成長過程この時期を乗り越える事で、子どもが自制心をコントロール出来るようになっていくのです。
どうしたらイヤイヤ期を上手に乗り越えられるのか
子どもがイライラしている理由が解っても、親にとってはたまったもんじゃない!と思う方も多い事でしょう。
しかし、親としても上手にこの時期と付き合い乗り越えたいですよね。
そこで、実際に私がこれまで試してみて助かった事の中でも、特に効果的だった3つを紹介します。
その1.2つの選択肢を与える
自我の目覚めにより、子どもは自分がしたい事、自分の意識が向いている事を意識が向いている時にしたいという気持ちを持つようになります。
「ご飯の時間だよ」と言われてもおもちゃに気が向いていたら、その時にご飯は食べたくない!イヤ!散歩へ行こうねと言われてもご飯に気が向いていたら、その時は散歩へは行きたくない!イヤ!と、親がしたい事と自分がしたい事が違う時にイヤイヤセンサーは発動します。
ここで「もー!どうしてママの言う事聞いてくれないの!?」と親がイライラしてしまうと、子どものイライラは更に高まり、それにより親もイライラが増幅。
▼という、下の会話のように、良くないスパイラルにはまってしまいます▼
親「お散歩行く?」
子「イヤ」
親「じゃあお部屋がいいね。」
子「イヤ」
親「じゃあお庭?」
子「イヤ!」
親「もー!じゃあどうしたいのよ!(イライラ)」
こうなってしまいそうな時にトライしたいのが「2つの選択肢」です。
親「お散歩行く?」
子「イヤ」
親「じゃあ、お散歩行く?それともお部屋で遊ぶ?」
子「うーん・・・お散歩!」
この問いかけ方が効く理由として言われているのは、選択肢がある事で、自分でしたい事を選べるのだと感じられる。親が自分にしたい事を選ぶ権利を与えてくれる。という感情が無意識に沸くからと言われています。しかしポイントは、選択肢が2つであるという事。
選択肢が多すぎると、選択肢を覚える事が出来ず、また選ぶのも大変。今度はそこに対してイライラを覚え、結果的に全てイヤ!になってしまいがちです。
その2.とりあえずやらせてみる
靴を履く、服を着る、ご飯を食べるなど、日常の色々な事を、全て親が手伝ってしまっている。なんて事ありませんか?出先で人が多い場合など、どうしても親が他人に迷惑をかけないようにと手伝ってしまいますよね。私も、ベビーシッターとして外出している時などはそうでした。
しかし、家の中で他に迷惑がかからない時や時間に余裕がある時は、子どもがやりたがる事は、とりあえずやらせてみるというのも一つの手です。
ご飯を食べる時にテーブルや床が汚れる場合は、床に新聞紙を大きく敷いて置いたり、テーブルにもさっと拭くだけで綺麗になるビニールシートをかけておくなど、後片付けが楽になる工夫をしておくと良いでしょう。また、子どもにやらせてみる場合にポイントになるのは、見ていてどう考えてもこれは出来無さそう、と感じた時に、全てやってあげるのではなく「さりげなく少し手伝う」という事です。
例えば、靴を履けなさそうだったら紐をゆるめてあげて再トライさせる、かかと部分を引っ張ってあげて履きやすくしてあげる。
スパゲティーを上手に食べられない時は、フォークに巻き付けてあげるなどです。
全て大人がやってしまうと、自分がやりたかったのに!とイライラしてしまいますが、少しでも自分で出来た事があれば、満足出来ます。
そして出来た時には「頑張ったね!上手くできたね!」と、頑張ったことをしっかりと褒めてあげる事も大切です。
その3.必要な時は親がやってしまう!大事なのは「何をするのか伝える事」
しかし、泣こうが怒ろうが、どう考えても子どもの意見を通せない!という場合はやってしまうのも大切。
この時は「一言何をするのかを伝えてからやる」と良いでしょう。前出の2つの選択肢も、常に効くとは言い切れません。また、外出先や寝る時間など、どうしても今これをやってくれないと困る!待っている余裕は無い!という事もあるでしょう。
例えば、夜寝る前に歯磨きをしたくないと言っている場合や、保育園から帰る時に靴を履きたくないと言って泣いているとしましょう。
しかし、じゃあしなくていいよとも言えませんから、この場合は「そっか、嫌なのね、でもどうしても必要だから、お母さんがやるね。はい、歯磨きするね」「靴履くの手伝うね」と、何をするのかを伝えて行動にうつします。
どんなにイヤイヤと泣いていても、何をしようとしているのか伝えられもせずにされてしまうと、余計にイライラさせてしまい悪循環に。何をするのか伝える。親としてのイライラもありますが、これは是非続けてみてください。
まとめ
イヤイヤ期と聞くと、うわぁ・・・と顔をしかめたくなる方が多いのもうなずけます。それだけ、この時期は大変です。
しかし、周りの人がどんな行動をするのか、何を言ったらどんなリアクションがあるのか、周りとどうしたら仲良く出来るのかなど、様々な事を無意識のうちに、子どもが沢山学ぶのもこの時期。
また、子どもによっては2歳になる前から、2歳になって結構経ってからなど、イヤイヤ期を迎えるタイミングもそれぞれ。イヤイヤの度合いもそれぞれ。
そして、いつもニコニコ優しいお母さんであり続けるだけよりも、お母さんもイヤと思った時は、子どもにそれを伝えてみる事もお勧めします。
大切な我が子にしっかりと向き合っている上でのやり取りであれば、親の愛はしっかりと子どもに伝わります。
また、中にはただ親に甘えたくてイヤイヤと言っている場合もあります。親の愛情をたっぷり受ける事は、子どもにとって何よりも大切。普段から、大好きだよ、愛しているよ、とダイレクトな言葉で伝える事、甘えたくてイヤイヤ言っているなと感じたら抱きしめてあげるというのも大切です。
「Terrible TwosがTerrific Twos(素晴らしい2歳期)になりますように。