もちろん人それぞれタイミングは違うものの、あなたもいずれは子供を持つことを考えていると思います。
子供を望むことはごくごく自然な人間の欲求の一つとして位置付けられています。
中には望まない夫婦もいますし、それも一つの人生の選択です。
現代ではいろんな生き方を選択できるようになったため、仕事や結婚などのライフプランも多種多様となってきました。
しかしその結果晩婚化が進み、残念ながら不妊で悩む夫婦が増えてきたのも実情です。
「何歳くらいまで自然妊娠に希望を持っていいのだろう?」
「自分にまだ妊娠できる力があるのかわからない」
「年齢を考えると自然妊娠を望むのは無理かもしれない・・」
あなたは現在このような悩みを抱えていませんか?しかし本当に年齢によって自然妊娠は諦めなければいけないのでしょうか?
最近のデータでは6組に1組の夫婦が不妊治療を受けていると言われています。(※)
これは、妊活をする上で不妊治療に頼ることも一般的な選択肢になってきたと言えるでしょう。
そして実はこの不妊治療を行った人の中にも自然妊娠で出産した人もいるのです。
「私は自然妊娠を希望しているので不妊治療の知識は必要ない」と思う方もいるかもしれませんが、自然妊娠を望む上で、不妊治療や高齢出産についての知識を深めておくことは、最終的に自然妊娠の可能性を広げることにもつながるのです。
ここではまず不妊治療にはどういったものがあるのか、高齢出産とはどう言う状態をさすのかを学びつつ、自然妊娠を目指す上で必要な知識を得てもらいたいと思います。
※参考文献:国立社会保障・人口問題研究所(2015年実施) 第15出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)(http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_report4.pdf)
焦りは禁物!自然妊娠を望む人が知っておきたい大事なこと
子供が欲しいなと思った時はまずは自然に妊娠するのを待ってみますよね?
いきなりクリニックに足を運ぶ人はあまり多くないでしょう。
しかし最近では不妊と言う言葉を聞く機会も増えましたし、実際に周りに不妊で悩んでいる人がいた場合、「もしかしたら自分も・・」と不安に思うかもしれません。
自然妊娠について詳しく知らないと、妊娠できるかどうか必要以上に不安になり焦りを感じてしまうことでしょう。
こう言った不安やストレスは実は妊娠に悪い影響を及ぼしてしまいます。
少しでもあなたのストレスを軽減できるように、ここでは自然妊娠を望む人が知っておきたい下記の6つの大事な情報についてお話したいと思います。
- 自然妊娠の定義と確率
- 生理が順調=自然妊娠可能ではない
- 妊娠力を高めるカラダ作り
- 自然妊娠で双子ができやすい人とは
- 自然妊娠にはストレスは大敵
- 不妊治療を始めるタイミング
それでは一つずつ見ていきましょう。
自然妊娠の定義って?確率はどのくらい?
自然妊娠とは、不妊治療などの医療に頼らず自然に妊娠した状態のことを差しますが、不妊治療の中には”タイミング療法”などの卵子・精子に直接的な医療行為を行わないものもあり、それらを経て妊娠した場合は「自然妊娠である」と言った意見もあります。
ほとんどの人は子供が欲しいなと思ったタイミングで自然に妊娠することを期待しています。
しかし、男女ともに生殖機能に異常がなかった場合でも、妊活を始めたからと言ってすぐに妊娠できるとは限りません。
実は全ての卵子・精子が受精できたり成長できる正常な状態である訳ではないのです。
精子においては一見よく動く元気な精子に見えても実際には染色体に何らかの異常がある場合がありますし、卵子は4回に1回の確率でしか妊娠できる正常な卵子が排卵されていないのです。
つまり何も異常がなくても、自然妊娠できる確率と言うのはそこまで高くないので、妊活を始めてすぐに妊娠できなくても不安に思う必要はありません。
一般的には妊活を始めてから70〜80%の人が1年以内に、80〜90%の人が2年以内に自然妊娠をしているそうです。
なので妊活を始めて1年、長くても2年は焦らずに様子を見てみましょう。
生理が順調でも自然妊娠できるとは限らない
いきなりですが、あなたは「生理が来る=排卵している」と考えてはいないでしょうか?
実は毎月定期的に生理がきているからと言って、毎月きちんと排卵しているとは限らないのです。
「無排卵月経」と言われ、正常に排卵している状態とは違う理由で出血が起こっている場合もあります。
生理があるため自覚症状がなく、自分が無排卵で妊娠できる状態ではないことを知らずに過ごしている方も多いそうです。
生理が来ていればいつでも妊娠できるとは限らないのです。
基礎体温を測ろう
妊娠をするためには女性の場合、毎月定期的に排卵が行われている必要があります。
自分がきちんと排卵をしているかどうか知る方法に、基礎体温を計る方法があります。
毎朝起床時に基礎体温を計りそれをグラフ化すると、きちんと排卵がされている人だと高温期と低温期の2層にキレイに分かれ、排卵が起こるタイミングや生理がくるタイミングを知ることができます。
しかし排卵がない場合、高温期と低温期がキレイに別れないガタガタなグラフになります。
また、グラフが高温期と低温期にキレイに別れていたとしても、グラフの特徴によってはホルモンバランスの乱れが指摘される場合もあります。
その場合、きちんと排卵がされていても何らかの異常で自然妊娠しにくい状態になっている可能性も考えられます。
基礎体温を測ることは、排卵しているかどうかを調べる以外に、自分の体質とタイミングも知ることができます。
自然妊娠を望むのなら、まずは基礎体温を計ることから始めてみましょう。
妊娠力を高めるカラダ作り
子宮の状態を整えるためには自律神経の働きが大きく影響しています。
この自律神経が乱れることにより、ホルモンバランスが崩れ、先ほど例に出した無排卵月経をひきおこしたり、その他の子宮のトラブルの原因になってしまいます。
自律神経やホルモンバランスを整えることは、自然妊娠しやすいカラダ作りには不可欠です。
では、自律神経やホルモンバランスを整えたり、自然妊娠しやすいカラダ作りをするためにはどのようなことに気を付ければいいでしょうか。
少しでも妊娠の可能性を高める方法があれば試したいと思われる方は多いでしょう。
また、妊娠力を高めるために男性も普段から気をつけるべきことがあります。
ここでは、男女別に妊娠力を高めるとされる方法についていくつかご紹介したいと思います。
女性編
【ヨガ】
ヨガによる効果としては、深い呼吸法による冷えの改善・リラックス効果によるストレス解消・骨盤の歪みを整えることによる子宮や卵巣機能の改善などが挙げられます。
実際にヨガを始めたところ妊娠できたと言う人も多く、先輩ママからヨガを勧められる方も多いのではないでしょうか。
また、ヨガの呼吸法は陣痛時に役立ったり腰痛をやわらげるなど、妊娠中のヨガも推奨されています。
ヨガは自宅でも気軽に行えますし、妊活から出産にかけてまで取り入れていきたいところです。
【適度な運動】
適度な運動をすることによってヨガによる効果と同様の効果を得られますが、適度な運動は出産のための体力づくりの効果もあります。
出産時には多大なエネルギーを使いますが、妊娠中は激しい運動ができませんし、つわりなどで寝たきりが続くと体力が減っていく一方です。
妊娠前から適度な運動によって体力づくりをしておく事で、陣痛に耐えうるパワーを出産時まで残しておく事ができます。
また日頃から運動をしていた人はつわりが軽いと言うデータもあるそうです。
【子宮を温める】
子宮を冷やすと様々なトラブルを引き起こすと言われています。
血の巡りが悪くなることによってひどい生理痛に悩まされたり、生理不順を引き起こしたりします。
お腹を直接温めるのも効果的ですが、足元を冷やさないように気をつけるのがベストです。
特に足首を温めると効果的なので、靴下ならなんでも良いというわけではなく、足の甲やくるぶしまで覆うことのできる丈の靴下を選ぶようにしましょう。
出産時にも子宮を温めた方がスムーズにお産が進むとされ、靴下の着用が推奨されています。
【葉酸を摂取する】
葉酸は胎児の奇形や障害、先天異常の予防に不可欠な栄養素とされ、妊娠中はサプリメントで摂取されてる方も多いと思いますが、実は妊娠力をアップする働きもあるそうです。
葉酸には粘膜の健康を維持する働きがあるので、子宮粘膜が強化されることにより着床力を高めるとされています。
男性編
【タバコは控える】
意外に知られていませんが、喫煙は精子の状態を悪化させ、精子濃度、総精子数、総運動精子数が減少すると言われています。
喫煙者は非喫煙者に比べ、精子数が15~25%も低下するそうです。
また、喫煙による影響は受精能力の低下や勃起不全などを引き起こすとも言われています。
妊娠発覚後に禁煙する方は多いですが、子供が欲しいと思った時点でタバコは控えた方がいいでしょう。
【自転車の乗りすぎに注意】
自転車は良い運動にもなり健康的な乗り物ですが、男性の場合睾丸に悪影響を及ぼす可能性があります。
サドルによる長時間の圧迫が神経系や血管にダメージを与えるためです。
実際、自転車レースなどに出場する選手には精巣周辺のトラブルを抱える人が少なくないとのこと。
自転車を健康のため日常の運動に取り入れている方も多いかもしれませんが、妊活においては乗る回数・時間を減らしたり、なるべく圧迫の少ないサドルに変えたりなどの対応が必要と言えます。
【サウナは控える】
女性は子宮を温める必要がありますが、男性の場合は逆で、なるべくなら温め過ぎない事が重要です。
これは精巣が熱によるストレスに非常に弱いと言う性質があるためです。
サウナ好きの男性は多いですが、妊活時期は控えた方が無難でしょう。
また同様の理由で下着も風通しの良いトランクスが良いとされています。
【膝上でパソコンを使用しない】
膝上でのパソコンがよくないとされる理由はサウナと同様で、パソコンによる熱が精子に悪影響を及ぼすからとされています。
アメリカの研究データによると、15分ほどの膝上での使用でも周辺温度は1度上がり、精子へダメージを及ぼすとのことです。
また、パソコンから放出される電磁波も精子の活動能力を低下させるとも言われています。多少の使用なら問題ありませんが、習慣的に長時間膝上でパソコンを使用する方は気をつけましょう。
妊活においては女性ばかりが気をつけていればいいと言う訳ではありません。
自然妊娠を目指すなら男女ともに妊娠力を高めていく必要があります。
こうしていくつか方法を見てみると、日常の習慣が知らず知らずのうちに悪影響を及ぼしている可能性があることがわかります。
でも逆に言うと、習慣を見直すだけでいいのですぐに改善しやすいとも言えるでしょう。
体内のことは自分ではイマイチわかりません。症状がないことだと尚更です。自分の妊娠力は目に見えませんが、普段から体調を整えることで自然と妊娠力は上がっていくことでしょう。
自然妊娠で多胎児ができやすい人とは?
「できれば双子が欲しいな」と漠然と思われていたりしませんか?
家系に多胎児がいると多胎児が産まれやすいと言われていますが実際にはどうなのでしょうか。
実は一卵性の場合は偶然によるもので遺伝性はないとされています。
一卵性双生児の割合は高くなく、双子全体だと1〜3割しかいません。
多くの双子は二卵性双生児なのです。
二卵性に関しては、女性側の家系に二卵性双生児がいる場合には、もしかしたら体質的な要素があり遺伝している可能性があると言われています。
なので二卵性であれば家系の影響はあると言えます。
ちなみに、双子の確率は100人に1人、つまり1%の確率です。これは、比較的多胎児を妊娠しやすいと言われている排卵誘発剤による不妊治療を経た妊娠も含まれています。
自然妊娠での双子の確率は0.6〜0.7%、排卵誘発剤による不妊治療を経た場合の双子の確率は5%ほどです。
では、自然妊娠で多胎児ができやすい「体質的な要素」とはどう言ったものなのでしょうか。
【身長が高い女性】
背の高い女性にはIGF(インスリン様成長因子)の分泌が多いと考えられています。IGFが卵巣を活発にするため、排卵数も増加傾向になり多排卵による多胎児が産まれやすいとされています。
【BMI値が高い(健康体である)】
健康で栄養状態もよい女性が双子を妊娠しやすい傾向にあるそうです。
標準体重とされるBMI値は18.5〜25ですが、22前後がもっとも病気になりにくい健康な状態とされています。
IGFが豊富に含まれる乳製品や肉類をたくさん食べることで多胎妊娠の確率は上がり、逆に菜食主義の女性は多胎妊娠の確率が5分の1程度となるそうです。
妊娠前から健康な体を作っておくことは重要であり、葉酸サプリメントの摂取は双子の妊娠の確率を上げるとも言われています。
【高齢出産である】
女性は年齢を重ねるごとに卵子を2個排卵する確率が高くなるそうです。
特に35歳以上から40歳前後の女性は双子妊娠の確率が上がるというデータもあり、双子が生まれる割合も10%を超えることがあるそうです。
一般的に双子の割合は1%くらいなので10倍も確率が高いことになります。
【経産婦である】
出産経験が増えると多排卵に関係している「ゴナドトロピン」というホルモンが増えるそうです。
特に出産経験が4回以上の経産婦だと多胎児妊娠の確率が高くなると言われています。
高齢出産・経産婦であることは、経験やタイミングによるものですが、”健康体であること”は遺伝や経験に起因しない要素です。
よってIGFが豊富に含まれる乳製品やお肉をたくさん摂取したり、妊娠前から葉酸サプリメントを摂取することで、多胎児を自然妊娠する可能性は高くなるのではないでしょうか。
あなたがどうしても多胎児を望むなら上記の方法を試してみるのも良いでしょう。
しかし、安易に”可愛い”と言う理由で望むのであれば少し考える必要があるかもしれません。
多胎児の育児は想像以上に大変で、多くのストレスを抱える家庭は多いです。実際に、双子の虐待率は一般の8〜10倍であると言う報告もされています。
現段階では周りのサポートも十分ではなく、専門家でさえ多胎児の家庭への対応に苦慮しているとのことです。(※)
多胎児を望む前に親やパートナーのサポートは受けられるか、経済的に余裕はあるか等、受け入れるだけの環境が整っているかどうか客観的に判断してみてくださいね。
※参考文献:双子の母親の育児ストレスに関する研究(http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/mw/journal/jp/2012-j22-1/P079-086_murakami.pdf)
妊活において精神的な影響は大きい。ストレス・焦りを感じる対象からは離れよう
「自分より後に結婚した人が次々に妊娠している」
「一度病院で検査してもらったけど何も問題はなかった。なのになぜ?」
「自分は焦ってないけど親や友人からの期待が重荷・・」
現在あなたは、いろいろ試したもののなかなか妊娠できず、上記のような不安な思いをしてはいませんか?
なかなか子供が授かれないことに少しも不安を抱かない人はいません。
気にしないように心がけていても、さらに不安を煽るような出来事が避けられない場面もあり、辛い思いをされてる方もいるかもしれません。
しかしそんな焦りやストレスが原因で妊娠しにくくなっている可能性があります。
逆に言うと、焦りやストレスから抜け出すことで妊娠しやすくなるとも言えます。
ありがとうございますm(_ _)m。
妊活、後2周期で出来なかったらあきらめて仕事に打ち込もうと思っていた矢先にできました。よくある妊活辞めたら出来たです。
あっためるの大切です、着床も要らしいですし。— さだこセカンド。 (@vbRA15qAC6jyTOY) 2018年1月21日
今日友達から妊娠報告キタ!
二人目まで5年開いててもう無理かもと諦め、おさがりで着せる予定やった上の子の服全部捨てたり人にあげて、もう妊活やめたわ!って先月LINEきたんだけど、昨日上の子がこれは捨てないでってメリー(赤ちゃんの上に吊るすやつ)のこと言ってきたんだって。— ladyaya (@loveeating1004) 2018年7月26日
自分の回りでは妊活やめた途端に懐妊した人が多いので、奈々ちゃんもそうであってほしかったな。出来た!で終わってほしかった。欲を言えば #隣の芝生は青く見える
— まりえ (@mailie0721) 2018年3月22日
これではいくら妊活しても体が準備できていないことになります。
精神的なコントロールはなかなか難しいですが、ちょっとした心がけで改善することもできます。
例えば、、
- SNSを見ない(他人の妊娠、子育ての報告はできるだけ視野に入れない)
- 子供の話題を避ける、会わない(回避できない場合は思い切って子供の話をしないようにお願いする)
- 一旦、妊活から離れてみる(趣味に没頭する。自分の時間を大切にする)
- 不妊治療にステップアップすることも視野に入れる(自然妊娠にこだわらない)
人は不意に入ってくる情報や何気ない言葉に大きなダメージを受けてしまうものです。
そしてあなたがどれだけストレスを感じているかは周りからは分かりません。
自分を精神的ダメージから守ってくれる存在は自分しかいないのです。
少しでもストレスを感じるものからは思い切って離れてみましょう。
妊活においては、焦りやストレスを感じないことがとても重要になります。
不妊治療を始めるのはいつから?
これまで自然妊娠を目指す人が知っておきたい大事なことや実践したいことをいくつか書いてきました。
これらを実践した上でなかなか妊娠できないと、そろそろ病院を受診した方がいいのでは?と思い始めると思います。
では、不妊治療を始めるタイミングはどのように決めればいいでしょうか?
先述したように、一般的には妊活を始めてから70〜80%の人が1年以内に、80〜90%の人が2年以内に自然妊娠を経験しています。
ですから、2年くらいは焦らずゆったりとした気持ちで妊活をしていきましょう。
一般的には妊活を始めて1年以上妊娠がないと「不妊症」であると言われ、受診の目安も1年とされています。
しかし、検査をしてみると問題は無く、ただタイミングがずれていただけと言うこともありますので、1年妊娠しなかったからと言ってすぐに不妊治療が必要となる訳ではありません。
医師と話をするだけでもなにか改善策が見つかったり気持ちが軽くなったりするかもしれません。
目安として不妊期間が1年を過ぎたらまずは一度受診をし、検査結果を見て治療が必要かどうか、始めるならいつかは医師とパートナーに相談して一緒に決めましょう。
もしくは、妊娠はしたけど残念ながら流産が何度か続いてしまった場合は何らかの原因が考えられます。
初期の流産は15%くらいの確率で起こることなので珍しいことではありませんが、連続して起こることは稀です。
10週未満に3回以上連続で流産をしてしまった場合には、早めに医師に相談し検査を受けた方がいいでしょう。
不妊治療は必要?情報を共有して夫婦できちんと話し合おう
ここでいきなり質問です。
あなたは不妊治療についてどのくらい詳しい情報を知っていますか?
不妊治療には様々な種類があり、様々な問題も起こりえます。
知らないことによって一番困るのは誰でもない、あなたなのです。
この記事の冒頭でも述べたように不妊治療を受けている夫婦は6組に1組の割合と言われています。今や不妊治療はとても身近な存在となっています。
しかし、不妊について気にする人が増えているにも関わらず、不妊について正しく理解する人は7人に1人と決して多いとは言えません。
不妊治療は夫婦で協力して行うものです。
自分たちには不妊治療が必要かどうか、どう進めていくのか、きちんと話し合うためにも不妊治療について正しい知識を持ちお互いの情報を共有していくことが重要となってきます。
ここでは、不妊治療について正しい知識を得ていただくために下記の5つの項目についてお話をしたいと思います。
- 不妊治療についての具体的な内容
- 不妊治療の助成金で受け取れる金額
- 乗り越えるべき不妊治療に対する男女の意識差
- 不妊治療におけるストレスとの付き合い方
- まずはお医者さんの話を聞こう
それでは順番に話を進めていきましょう。
不妊治療には段階があり、自然妊娠力を高める治療もある
病院を受診したからと言って、すぐに不妊治療が始まるわけではありません。
まずは仕事や日常生活のカウンセリングを受けたり、生殖能力に異常がないかなどの検査をしたりします。
検査結果によって医師の判断は異なりますが、一般的には下記の順番で段階的に不妊治療が進められます。
【タイミング法】
妊娠しやすいと言われる排卵日の2日前から排卵日までに性交のタイミングを合わせる方法です。
排卵のタイミングは基礎体温の計測で調べることができますが、医師による超音波での計測の方が確実だそうです。
治療の目安は6回、毎月行えば半年ほどです。
【人工授精】
採取した精液中から動きのよい精子(運動良好精子)を取り出して濃縮し、妊娠しやすいタイミングで細いチューブを使って子宮内に直接注入する方法です。
妊娠成立のプロセスは自然妊娠と同じで、妊娠できる確率は10%ほどです。
【体外受精(顕微受精)】
卵子と精子を同じ培養液の中で培養して受精させ、得られた受精卵を子宮に戻す方法です。
顕微受精とは動きがよく形の正常な1個の精子を卵子の中に細い針で注入する方法で、受精障害や重症精子減少症、重症精子無力症など体外受精では受精が起こらない可能性が高い場合に実施します。
まず、「タイミング法」で治療がスタートするのが一般的です。
病院で調べてもらった結果、自分が思っていた排卵日と実際のタイミングがずれていたりする場合があり、正しいタイミングを取ることにより受診後に妊娠できたと言う話もあります。
その場合、特別な治療をした訳ではなく、ちょっとした検査だけで自然妊娠ができたことになります。
残念ながら半年(6回)以上タイミング法を行っても効果が得られなかった場合には、「人工授精」へのステップアップをすすめられます。
「人工授精」と聞くと、”人工”と言う言葉に心理的抵抗感を感じる人もいるのではないかと思います。
特に強く自然妊娠を望んでいる方や男性にとってはハードルが高く感じるようです。
しかし実際にはタイミング法との違いは精液が入るところだけでありどちらかと言うと自然妊娠に近い方法といえます。
自然妊娠力を高めるためのちょっとした手助けと考えると良いでしょう。
人工授精の場合も6回ほど試して結果が得られない場合はさらに次のステップ、「体外受精」へとすすめられます。
不妊治療を行う人は、比較的人工授精まではトライしやすいようですが、体外受精となると大きな壁を感じる人も少なくありません。
それは経済的にも身体的にも負担が急激に増えるからです。
いずれの治療法も医師から詳しい説明をきちんと受けた上で、パートナーとしっかり話し合いお互い納得した上で治療をすすめていく必要があります。
また、検査で何かしらの異常が見つかった場合には上記3つの方法と並行して症状に合わせた治療も進められます。
代表的なものに、卵管造影や排卵誘発剤の使用などがあげられます。
基本的には段階的にすすめられる不妊治療ですが、検査結果や年齢によってはいきなり体外受精からすすめられる場合もあります。
これは時間の無駄や経済的負担を減らすためです。何か変だなと気になることがあれば早めに医師に相談してみましょう。
参考文献:先進医療.net(http://www.senshiniryo.net/column_a/34/index.html)
不妊治療は200万?!助成金の取得方法と金額
「不妊治療ってお金がかかりそう・・」
「不妊治療は保険が適用されないんだよね?」
あなたは不妊治療について上記のようなイメージを持っていませんか?
確かに保険が適用されない高額な治療方法もあり、人工授精や体外受精などの不妊治療を行なった人の平均治療総額は200万と言われています。
かなりの高額です。
でも実際には、保険が適用される治療もありますし、高額な不妊治療については国や自治体から助成金が貰えるんです。
不安に思う必要はないのです。
先ほども述べたように、不妊治療には段階があり、人工授精や体外受精より前段階の治療であればそこまで高額ではありません。
人工授精や体外受精は自由診療になるため保険適用外ですが、タイミング療法などの治療は保険適用の3割負担となるため、1回数千円程度の支払いで済みます。
なので早めに医師に相談をし、自然妊娠力を高めるような初期段階での治療で妊娠することができれば、そこまで高額な治療費を払うことはありません。
また、検査や初期治療の結果、人工授精や体外受精などの高額な不妊治療へのステップアップをお医者さんから勧められても、「お金がかかるから・・」と諦める必要はありません。
国や自治体の助成金を利用することでかなりの負担を軽減することができます。
人工授精や体外受精は自由診療のため医療機関によって治療費が違います。
一般的には人工授精が一回1〜2万円、体外受精が一回30〜50万円程です。
これらの治療は一回で成功する確率は決して高くないため複数回行う人が多く、特に体外受精の負担額はかなりの金額になってしまいます。
そこで国は体外受精と顕微授精を特定不妊治療と定め、以下の助成を実施しています。
- 1回の治療につき15万円(凍結胚移植・採卵を伴わないもの等については7.5万円)まで助成
- 初回の治療に限り30万円まで助成
- 精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術を行った場合は1回の治療につき15万円まで助成
助成を受けられる年齢・回数は、不妊治療開始時の年齢や所得などにより制限が設けられているので全員が助成対象となる訳ではありませんが、早めに医師に相談することにより助成を受けられる可能性は高くなります。
諸条件は厚生労働省のHPで確認することができますので、自身が対象であるかどうか確認をし医師に相談してみてはどうでしょうか。
厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047270.html
国とは別に自治体が独自に助成事業を行なっているところもあります。条件を満たせば国と自治体の助成を併用することができますので、場合によっては大きく負担額を減らすことができます。
例えば東京都の助成金は以下のようになっています。
- 治療一回につき7.5〜25万円までの助成(治療ステージにより)
- 初回の治療に限り30万円まで助成
- 精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術を行った場合は1回の治療につき15万円まで助成
また、特定不妊治療の以外の検査・治療でも助成を受けられる制度もあります。
- 保険医療機関にて行った不妊検査及び一般不妊治療に要した費用(調剤を含む)について5万円を上限に助成
- 助成回数は夫婦1組につき、1回に限り
これにより、特定不妊治療に含まれない人工授精などの不妊治療に対しても助成を受けられることになります。
額が小さくても積み重なると大きな負担になってくる不妊治療なので、受けられる助成は漏れなく申請したいところです。
東京都福祉保健局HP
東京都特定不妊治療費助成の概要:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/kosodate/josei/funin/top.html
不妊検査等助成事業の概要:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/kosodate/josei/funinkensa/gaiyou.html
自治体の助成金・受け取るための諸条件は自治体によって違いますので、お住いの地域の助成内容を確認する必要があります。
不妊治療を行う人の8割以上は何らかのストレスを抱えていると言われ、経済的負担もその原因の一つです。
少しでも負担を軽くできるようにどんな助成が受けられるか調べておきましょう。
不妊治療に対する男女の意識には差がある
不妊治療には段階があり、国や自治体の助成を受けられることも分かり、不妊治療に対するハードルが少し低くなったと感じる人もいるかもしれません。
しかしここで、意外に障害になってくるのが夫婦間の意識の差です。
どちらかと言うと女性側が子供を強く希望し不妊治療に積極的に関心を持つのに対し、男性側は不妊治療に対して抵抗感を抱くことが少なくありません。
なんとなく自然妊娠へのこだわりを捨てきれない人も多いのです。
これは概ね不妊に対する知識の少なさが影響していると考えられます。
年齢による自然妊娠の確率の低下は、女性側、つまり卵子の老化が話としてよく聞かれますが、実は精子も年齢とともに老化が進んでしまうと言う話はあまり知られていません。
ある研究では、”加齢とともに受精卵の細胞分裂をさせる力のない精子が急増する”可能性がデータとして指摘されています。
不妊の原因は半分くらいは男性側にもあるとも言われ、決して珍しいことではないのです。
しかし、そのことを知らず「自分は大丈夫」と思っている男性は多く、検査によって何か異常が見つかった場合その事実を受け入れるのが怖く病院に行きたがらない人もいるのです。
男性側も不妊について正しい知識を持つことが、男女間の意識差を無くすことにつながります。
ではあなたやパートナーが実際にどのくらい不妊について知識があるか、下記のクイズでチェックしてみましょう。
不妊に対する知識度チェック
結婚して普通に夫婦生活をしていれば子供は自然にできるものと思っている方も多いですが、実際はそう簡単なことではないのです。
特に晩婚化が進み初出産年齢が上がっている現代では不妊に悩む夫婦は年々増えています。
不妊を他人事だと思わず、普段から意識しておくと良いでしょう。
不妊治療は子作りです。
夫婦2人で協力し合い行っていくものです。もしあなたが疲れていたり、気分が乗らないのにパートナーが性行為をしようとしたら嫌な気分になりますよね。
不妊治療も一緒です。
どちらかが気乗りしないまま無理に進めても不信感を感じてしまいうまくいきません。
大事なのは2人の歩幅を合わせていくことです。
特に抵抗感を感じやすい男性側の意識に合わせていく必要があるでしょう。
次の項目でお話ししますが、不妊治療は決して楽しいものではありません。
お互いに協力し合い助け合いながら進めていきましょう。
不妊治療を受けている85%の人が何らかのストレスを感じている
先ほど少し触れましたが、不妊治療を行う人の85%は何らかのストレスを感じている(※)と言うデータがあります。
ストレスになる要因としては「成功率を考えると子供を持つことができるか不安」「治療に時間がかかること」「経済的問題」「不妊治療が生活の中心になっていること」などがあげられます。
タイミングが重要となってくる不妊治療は通院のことを考えて日常や先々の計画を立てなければなりません。
また結果が出るまでの待つ期間や、ダメだった場合は1ヶ月また待たなければならないなど、思ったよりも治療に長い時間を要します。
また、それだけ時間やお金を費やしても100%の妊娠は保証されておらず、終わりの見えない治療に不安を感じる人は少なくありません。
治療期間が長引けば長引くほどストレス度合いも高くなり、悪循環から抜け出せなくなってしまいます。
不妊治療を受けると決めた際には、いつまで・どの治療まで・いくらまで・ダメだった時はどうするかを事前にパートナーと決めておくほうが良いでしょう。
また、不妊治療においてストレスが安定しているタイプの人は、夫が不妊治療の知識持っている・妻の負担が大きいことを理解している・問題を共有する関係性が構築されているなどの共通点が見られるそうです。
なるべくストレスなく不妊治療に挑むためには、パートナーと話し合い、常に良好な関係性を築けているかは重要となってきます。
※参考文献:わが国における不妊治療経験者の心理に関する文献研究(http://www.l.yamaguchi-pu.ac.jp/archives/2014/01.part1/03.nursing%20and%20human%20nutrition/08.nursing_SASAKI.pdf)
不妊治療の第一歩はお医者さんの話を聞くことから
不妊治療はどうしてもしなくてはいけないものではありません。
本人たちが治療は必要ない、そこまでして子供が欲しいわけじゃないと思えば自然に身を任せているのが一番です。
しかし、不妊治療の中には、自然妊娠力を高めるもの・医療の手を加えたとしても限りなく自然妊娠に近いものもあり様々です。
自然妊娠にこだわりたい場合でも、体調によっては治療が必要となる場合もあります。
まずはあなたが妊娠についてどのような希望を持っているか医師に相談をしてみましょう。
「不妊治療も視野にいれている」
「どんな方法でもいいから子供が欲しい」
など、あなたの意志を明確に伝えることでお医者さんはそれに合わせた提案をしてくれるはずです。
その提案を聞いた上できちんと夫婦で話し合い、治療をするかしないかを決めていくのが良いでしょう。
それが妊活においても不妊治療においても大きな第一歩につながります。
自然妊娠を待つか不妊治療をするか・・早めの決断が決め手の高齢出産
ここからは高齢出産についてのお話をしようと思います。
高齢出産とは35歳以上の初産のことを差しますが、晩婚化が進む現代社会では高齢出産の割合も増えています。
ここまで、自然妊娠したい人が”知っておきたいこと・気をつけたいこと”、もし不妊治療を始めるなら”いつ・どんなことから”についてお話してきましたが、あなたやパートナーがもし35歳以上であるならばこれらの話は少し変わってきます。
なぜならば、年齢が上がるにつれて妊娠に関する様々なデータが変わってくるからです。
35歳を過ぎると妊娠・出産に関して様々なリスクが生じてきます。
ここでは高齢出産に関する定義やデータ、35歳以上で妊娠した場合のリスクやメリットについて書いていきます。
晩婚化が進む現代においては35歳以降が高齢出産
2017年の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性が29.4歳と晩婚化が進むなか、初産年齢も徐々に上がってきています。
厚生労働省の発表によると、2017年の平均初産年齢は30.7歳でした。
こういった流れを受けて、日本産科婦人科学会による「高齢出産」の定義も変更され、1993年以前は30歳以上とされていたのが、現在では35歳以上の初産婦が高齢出産であると定義されています。
また、高齢出産の中でもおよそ50歳以降の出産を、特に「超高齢出産」と呼ぶこともあります。
厚労省の2017年のデータではこの「超高齢出産」での初産データを確認することはできませんが、45歳以上での第一子の出産数はおよそ700人とされています。
多い数字ではありませんが、他年齢帯との母数の違いを考えれば少なくない数字です。
高齢出産とされる35歳以上の出産数はおよそ94000人で、これは第一子の全出産数の約20%程です。
今や5人に1人が高齢出産をしていると言うことになります。
参考文献:厚生労働省 平成29年度人口動態統計月報年計の概要(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/dl/kekka.pdf)
年齢が上がるにつれて自然妊娠の確率は下がる
近年、不妊治療に悩む夫婦は6組に1組であると言うお話をしましたが、これは上記の通り、高齢出産をする夫婦が増えてきたためと言えます。
妊娠と年齢はそれだけ密接な関係性があるのです。
生物学的には女性は閉経する50歳くらいまでは自然妊娠が可能です。しかし自然妊娠を希望する目安は40歳までと言われています。
それは年齢とともに卵子の老化が進み、妊娠に繋がらない卵子が排卵されることが増えてしまうためです。
先の項目で、出産につながる正常な卵子は4回に1回の確率でしか排卵されていないとお話しましたが、40歳くらいになるとそれが1年に1〜2回程まで減少してしまうと考えられています。
また、卵子だけではなく精子も加齢による影響で老化が起こります。
染色体異常のある精子が増えてしまうのです。
正常な卵子が排卵されたタイミングで元気で染色体異常のない精子が結びつけばよいですが、それぞれの確率が低下していることを考えると容易なことではないでしょう。
このように高齢出産とされている35歳以降の妊娠の確率は低くなり、さらに流産の確率も高くなります。
45歳以降となるとかなり難しいと言えるでしょう。
早めの行動が可能性を広げる
そこで高齢出産を目指す多くの人は早くから不妊治療を始める人が多いです。
相談をするために訪れた病院でも早めに治療を開始することを医師から進められるでしょう。
なぜなら、始めるのが早ければ早いほど正常な卵子や精子を採取できる可能性も高くなるので不妊治療による効果も高くなるためです。
少しでも妊娠する確率を上げるためにも、早めの行動が重要となってきます。
しかし中には「年齢は気になるけど仕事も順調だし子作りはもうちょっと後にしようかな」と思われる方や、逆に「年齢的に体力や障害が心配だし、無理して子作りをしないほうがいいのでは」と思われる方など、年齢やリスクを気にしつつ積極的に妊活に踏み切れないと言う人もいるのではないでしょうか。
そこで次項目では、高齢出産による様々なリスクについて学んでいきましょう。
高齢出産のリスクとメリット
40歳以上での出産は年々増えてはいます。が、高齢であればあるほど、妊娠・出産には様々なリスクを伴うと言われています。よく聞かれるのはダウン症などの障害児の確率が高くなることですが、実は母体側にもリスクが生じる可能性があります。
母体側のリスク
【妊娠中の病気】
高血圧による頭痛やたんぱく尿、むくみなどの症状が現れる「妊娠高血圧症候群」を引き起こすことがあります。
【妊産婦の死亡率の高さ】
日本での妊産婦死亡については、40歳を過ぎると20~24歳の妊婦の実に20倍以上にまで高まるとの報告がされています。
【出産時のトラブル】
遷延分娩・分娩停止、分娩時出血量の増加、産道損傷、帝王切開率の上昇など様々なリスクがあげられます。
胎児側のリスク
【新生児のダウン症の発症率が増加】
25歳未満で1/2000、35歳で1/300、40歳で1/100の確率。40代は25歳未満のおよそ20倍のリスクがあります。
【流産・早産する危険性が増加】
染色体異常のある卵子や精子が増えるため胚または受精卵がうまく育たないことが増えてしまいます。
こうして見てみると、高齢出産が常に高いリスクを伴うような気がして、怖くなってしまう方もいるかもしれません。
しかしこれはあくまで妊娠・出産時の夫婦の年齢が高いと、若いうちの妊娠・出産と比べて相対的にリスクが高くなるという意味であり、実際の高齢出産では大半が正常な妊娠・分娩の経過をたどっています。
必要以上に不安になる必要はないでしょう。
高齢出産のメリット
また、高齢出産のメリットとして、「仕事である程度ポジションを確立した上で産休・育休に入れるので復帰がスムーズにしやすい」「生活基盤が整ってから育児ができるため余裕を持ちやすい」と言った意見があげられます。
確かに、晩婚の背景には女性の社会進出があり、20代〜30代で仕事に打ち込んだ結果高齢出産となるケースは多く、ある程度キャリアも積み重なり、経済的にも余裕ができた頃に落ち着いて育児に取り込めることはメリットと言えるでしょう。
しかし一方で、「子供と遊ぶと体力の衰えを感じざるを得ない」「子供の大学受験のころに定年を迎える」と言った不安の声も聞かれます。
メリットやデメリット、リスクを理解した上で、高齢出産に取り組むか諦めるかを決断した方が良いでしょう。
子供が欲しいと思ったら早めの受診を
高齢になればなるほど、1回の妊娠率は低くなっていきます。20代で20%だったのが、30代だと10%台、40代になると一桁台まで下がってしまいます。
また、不妊治療による成功確率も下がってしまいます。
高齢出産は時間との戦いと言えるでしょう。
そのため、病院に行くと医者からいきなり体外受精の治療を勧められることもあるそうです。
タイミング法などその他の治療で時間をかけるより、可能性の維持を重視するためだと考えられます。
医者としては、高齢の方にはできるだけ「子供が欲しいと思った時点で自然妊娠にこだわらず、早めに受診してほしい」とのことです。
最近は凍結技術が上がっており長期の保存が可能であるため、なるべく若い時の質が良い卵子や精子を採取して保存しておくことが可能性を広げることにもつながるそうです。
もちろん、35歳以上でも自然妊娠で出産してる方はたくさんいらっしゃいますので、全ての人に不妊治療が不可欠と言う訳ではありません。
しかし、治療をするにしてもしないにしても高齢出産の場合は早め早めの決断が肝になってきますので、まずは夫婦での話し合いが不可欠です。
その上で早めの受診をオススメします。
まとめ
これまでお話してきたことを通して、自然妊娠と不妊治療・高齢出産が密に関わりあっていることがお分りいただけたでしょうか。
時代の流れとともに、妊娠や出産、育児を取り巻く環境は大きく変わってきています。
妊娠に関しても様々な選択ができるようになり、あまりこだわり過ぎないことが可能性を広げることにつながるのではないかと思います。
子供を授かると言うことは人生におけるとても大きなライフイベントとなります。
そのため、それに伴う決断は様々な悩みが生じることが少なくありません。
大事なことは、パートナーときちんと話し合い、お互いに情報を共有し合いながら選択していくことです。どんな選択をするにしても、お互いがきちんと納得できるように、日頃から協力し合い絆を深めておくことが大切です。