数年前の春。
出張から帰宅し、久々に我が家で目覚めた朝「そういえば、しばらく生理が来ていないかも?」と思い立ち妊娠検査薬をトライ。
数分後、検査薬の判定窓に出た結果は赤い2本線(陽性判定)だったのです。
しかし、喜びは束の間で・・・子宮外妊娠と発覚。
この記事は、子宮外妊娠発覚から緊急手術・術後の体調や新たな妊娠について綴った体験談です。
目次
自分が当事者になるまで知らなかった子宮外妊娠という言葉
通常の妊娠は受精卵が子宮内膜に着床し成長することを言いますが、子宮外妊娠はその言葉通り子宮以外の部分へ受精卵が着床してしまう事を言います。
主に卵管への着床が多く、その他卵巣や腹腔へ着床してしまう場合もあるそう。
ですが、中には原因不明の場合もあるそうで(私もその1人でした)、全ての原因が解明されている訳ではないのだそうです※。
(※子宮外妊娠「日産婦誌」)
出血から始まった子宮外妊娠疑い。
検査薬で陽性が出た翌日、張り切って受診した産婦人科で告げられた言葉は「妊娠反応は出ているが、まだ胎嚢が見えないから妊娠していると断定できない」でした。
しかし、再受診の前に病院へ電話することになるのです。
なぜなら受診した翌日、トイレで少量の出血を確認したからでした。
紹介状を貰うまでの間に「お腹が痛み出したら救急車を呼ぶこと」と念を押され、週明けに紹介状を貰い転院しました。
そこで改めて経膣エコーをして貰うも、子宮内に胎嚢は見えずHCG(妊娠している場合に著しく数値が上がるホルモン)の数値から子宮外妊娠と診断。
こうして人生初めての妊娠は子宮外妊娠となることを告げられたのでした。
子宮外妊娠の症状は?痛みは酷いのか?
子宮外妊娠と診断されてからというもの、知識がなかった私はネットに齧りつき日々検索魔になりました。
「死ぬほど痛い」
「痛すぎて意識を失った」
といった恐ろしい体験談。
子宮外妊娠では処置が遅くなると胎嚢が大きくなり着床した先の卵管が破裂してしまう事があり、その時、腹腔内で大量出血が起き母体がショック状態に陥ることもあるそうです。
この時の卵管破裂の痛みが先述したような、世にも恐ろしい痛みなのだそうです。
子宮外妊娠に気づくのが遅くなり卵管破裂になってしまうと命に関わる事にもなりかねません。
生理予定日を1週間〜2週間以上経過している場合は妊娠検査薬や産婦人科へ受診しましょう。
腹腔鏡手術で卵管を切除、日帰り入院は出来ませんでした。
お腹にいる子は今後育つ事が出来ないと頭では理解しつつ、せっかく宿ってくれた命に対し一概に「このまま自然に消失してくれたらいいな」とは思えず複雑な気持ちで過ごした経過観察の約2週間。
手術の日は唐突に訪れました。
計測するHCGの数値は下がる事がなく迎えた3度目の受診時に「今日このまま入院!即手術しましょう。」と告げられたのです。
どうやらこれ以上観察を続けても胎嚢が自然と吸収される事はないと判断されたようで、いつ卵管が破裂してもおかしくない状況になってきているようでした。
開腹手術に比べ手術跡が小さく済み回復も早い為、入院期間は短めですが日帰り入院は出来ませんでした。
子宮外妊娠判明から手術までの期間
私の場合、妊娠発覚から手術までの流れは以下の通りです。
妊娠発覚から子宮外妊娠の手術までの流れ | ||
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5月27日 | 妊娠発覚・産婦人科受診 (胎嚢確認できず) |
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5月28日 | 仕事中に少量出血し病院へ連絡。 (子宮外妊娠かもしれない旨伝えられる。) |
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5月30日 | 産婦人科受診し子宮内には胎嚢見えず、大学病院へ転院を勧められる。 | |
5月31日 | 大学病院受診 (前日同様で子宮内には胎嚢が見えず) (HCGの数値から子宮外妊娠と診断され経過観察の指示。) |
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6月6日 | 経過観察のため受診。 (これまで小さくて見えなかった胎嚢を卵管内に発見。) |
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6月13日 | 経過観察のため再受診。 (HCG数値下がらず) |
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6月15日 | 経過観察の再受診。 (症状改善されず、その場で緊急手術が決定し即入院からの手術。) |
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6月20日 | 退院 |
子宮外妊娠判明後は、経過観察のため病院に通う必要がありました。
また、即入院になるケースも考えられるため、準備しておく事をおすすめします。
術後の体調と入院期間
入院期間は4泊5日。
術後の体調はお臍に小さな穴を開けて手術をしてもらった為、数日は笑ったりくしゃみをするなど腹圧がかかるとズキっと痛みが走りましたが鎮痛剤が処方されていたので、我慢できない程の痛みではありませんでした。
また、術後1ヶ月程度は傷口がつっぱるような違和感を感じる事があったので暫くはウエスト周りがキツイ服を避けゆったりめの服を選んでいました。
腹圧をかけるような力作業などは避けましたがそれ以外はほぼ通常通りで働けました。
手術・入院にかかった費用
子宮外妊娠は保険適用になるので手術費用などの医療費は3割負担でした。
その他、入院に関わる食事代や寝具代などを含めた支払い総額は約20万円。
ただし、その後高額療養費の払い戻しを受けていますので実質の持ち出しは約10万円程度となりました。
子宮外妊娠後、妊娠は出来るのか
術後2ヶ月が過ぎた頃に生理が再開しました。
片側の卵管がなくても自然妊娠ができるのかを聞くと、「普通の人に比べ20〜30%妊娠率は下がるけれど自然妊娠の可能性はあるよ!」とのこと。
2本の卵管のうち1本がなくなったのだから、妊娠率も50%になるのではと思っていた私は少し希望を感じました。
そしてそこから、片側卵管での自然妊娠を目指した妊活がスタートするのです。
手術をする人としない人
子宮外妊娠が判明したからといって、全員がすぐ手術をする訳ではありません。
なぜなら、成長出来なくなった胎嚢が自然と吸収され消失する場合もあるからだそうです。
その他には、薬物療法での治療法もあるそう。
要するに子宮外妊娠判明時の状態や着床部位などにより、手術・経過観察・薬物療法などそれぞれに適した治療法を決定されるという事です。
腹腔鏡手術後の体調や心境
突然の卵管摘出手術から約5年後の昨年、ようやく待望の第一子を無事出産することが出来ました。
現在は初めての育児を楽しみながら奮闘しております。
結局片側卵管切除をしてから1年間妊活をお休みした後、約3年強の妊活・不妊治療を経てやっと叶った妊娠・出産。
子宮外妊娠をしてからここまで本当に長い道のりでしたが、5年前に会うことが出来なかった我が子がこうして目の前にいると思うと感謝と幸せな気持ちでいっぱいです。
今後は、子宮外妊娠や不妊治療での経験を綴ることで、少しでもどなたかのお役に立てることを願っております。