20~30代に多く、不妊の原因にもなるといわれる子宮内膜症。
子宮内膜症の中でも「チョコレート嚢胞」を指摘されて衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか?
私もその一人です。左卵巣に4㎝大のチョコレート嚢胞が2つありました。
そのまま不妊治療を開始しましたが、なかなか授からず・・・。
今すぐにでも子どもが欲しい私にとって、「チョコレート嚢胞をどうしたら良いのか」が一番の悩みでした。
そんな私が決断に至った体験談を紹介します。
目次
チョコレート嚢胞とは?
子宮内膜またはそれに似た組織が何らかの原因で、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生し発育する疾患が子宮内膜症です。
子宮内膜症は女性ホルモンの影響で月経周期に合わせて増殖し、月経時の血液が排出されずにプールされたり、周囲の組織と癒着をおこしてさまざまな痛みをもたらしたりします。
また、不妊症の原因にもなります。
子宮内膜組織が卵巣に発生したものがチョコレート嚢胞です。
月経の度に出血するので、放っておくと大きくなっていきます。
子宮内膜症と聞くと、月経痛がひどいイメージがありますが、私はそこまで気にしたことがありませんでした。
排便痛や性交痛もなかったので、診断を聞かされた時は本当に驚きました。
チョコレート嚢胞の治療法
チョコレート嚢胞の治療法をご紹介します。
チョコレート嚢胞の治療法ピルなどの薬物療法
私のように「今すぐ妊娠したい」場合、ピルなどの薬物療法は提案されません。
妊活を優先しないという方は、ピルなどの薬物療法で経過観察を行う方もいらっしゃいます。
チョコレート嚢胞は手術をしても再発する
手術に関しては、「チョコレート嚢胞の大きさが6㎝以上になると適応になる」と医師から聞きました。
私は4㎝が2つだったので、「繋げたら手術適応」「ひとつひとつを見たらギリギリ手術適応ではない」という事になります。
なにより、手術でチョコレート嚢胞だけを切除しても、卵巣内にある卵も少し取り除かれてしまうそうです。
チョコレート嚢胞は再発もするので、手術を繰り返すわけにはいかないという説明でした。
チョコレート嚢胞は妊娠中は悪化しない
チョコレート嚢胞は妊娠中は悪化したり進行する事はないとされ一般的には経過観察になります。
低AMH※の私は、手術により卵が減るのではないかと不安になり医師と相談。
※AMH:卵巣年齢と呼ばれるアンチミューラリアンホルモンの事
妊活を優先したい希望を伝え、「早く妊娠することが一番の治療だね」と言われました。
しばらく経過観察を行いながら、タイミングや人工授精をする事を選択する事に。
同時に、早めに体外受精にステップアップも考えるようになりました。
念のために卵管造影検査とMRIと腫瘍マーカーの検査を受ける
自主的により詳しい検査を受ける事にしました。
卵管造影検査を受ける
卵管やその周りに子宮内膜症があると、卵巣から排卵された卵子を子宮に届けられなくなります。
卵管の詰まりがないか調べるのが卵管造影検査ですが、私は問題ありませんでした。
念のためMRIと腫瘍マーカーを受ける
チョコレート嚢胞から卵巣がんが発生する頻度は0.7%程度。年齢の高さやチョコレート嚢胞の大きさによって、発生頻度は高くなるといわれています。
引用元:産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020
「がんなら手術しないといけない」と思い、「MRI※」と「腫瘍マーカー※」を自主的に受けました。
※MRI検査:頚部から骨盤部の主要臓器のがん検索を行う画像診断
※腫瘍マーカー:血液や尿に含まれる腫瘍マーカーの値を測定する検査
結果は右卵巣にも小さいチョコレート嚢胞が見つかっただけでした。
体外受精へステップアップ時に手術をすすめられる
人工授精を4回チャレンジしても妊娠しなかったので、体外受精したい旨を医師に相談しました。
すると、「チョコレート嚢胞があると採卵できない」と言われてしまったのです。
採卵時に、万一チョコレート嚢胞を刺して内容物が腹腔内に広がると、炎症を起こしてしまうためです。
医師からは「まず手術してからだね」と言われてしまいました。
チョコレート嚢胞の手術するか迷いセカンドオピニオンへ
「私は低AMHなのに手術して良いのかな?」
後悔する選択をしたくないと思い、セカンドオピニオンのために他院へ行きました。
そこで以下のことを言われました。
- 子宮内膜症では腹水に炎症物質があって、受精卵を攻撃するため妊娠しにくい
- 手術は何度も行えるものではなく再発もする
- 手術後の卵巣機能は低下する
- 採卵はチョコレート嚢胞を避けて行える
- 早く体外受精にして、早く妊娠を目指すことがベスト
(採卵することで攻撃を可能なかぎり回避する)
(そのため採れない卵もある)
2つしかない卵巣。
「手術しないで体外受精ができるなら」と、転院することを決めました。
チョコレート嚢胞を残したまま体外受精へ
一度目の採卵ではチョコレート嚢胞を避けて行われました。
二度目の採卵では左に多く卵胞が育っていたためチョコレート嚢胞を穿刺して中を吸い出してから採卵しました。
病院によって、チョコレート嚢胞に対する見解が違う
病院によって、チョコレート嚢胞に対する見解が違ったので、セカンドオピニオンを受けて良かったと思っています。
日本産婦人科医会では以下のように書かれています。
「子宮内膜症合併不妊において手術療法が必要となるのは,以下の3つの場合である」
- 卵巣チョコレート囊胞が大きい(4~5㎝以上)場合
(自然妊娠の障害,ART 時の採卵の障害,妊娠中の破裂や感染の危険性の回避目的)
- 子宮卵管造影やMRI などの画像診断で付属器周囲の癒着が疑われ,かつ自然妊娠を希望する場合
- 月経困難症・慢性骨盤痛などの疼痛が高度で不妊治療に差し障る場合
上記の条件に当てはまらない場合には,可及的速やかな妊娠を目指してART を行う。
初めの病院は①を心配したのだと思います。
また、以下のようにも書かれており、転院先ではこちらを優先し「チョコレート嚢胞を残したまま体外受精」を進める事が出来たんだと思います。
卵管の高度癒着や重症が予測される場合は,腹腔鏡または開腹による手術治療により妊娠が期待できる可能性はあるが,最近の不妊患者の高齢化や卵巣予備能低下例が増加していることを考慮すればARTを選択することが多い。
引用元:子宮内膜症への対応 |公益社団法人 日本産科婦人科学会
妊娠中は、チョコレート嚢胞が小さくなった
現在、私は顕微授精で妊娠中です。
産科でチョコレート嚢胞を診てもらったところ、問題ない程度に小さくなっているそうです。
低AMHで悩んでいたので、手術しなくて済んだことを個人的に良かったなぁと思っています。
もし、同じ悩みを抱えている方がいらっしゃったら。
手術をするか、しないかは、セカンドオピニオンを受けてみてから検討する事をおすすめします。