授乳はお母さんと赤ちゃんが絆を深めることのできる大切なひと時です。
しかし、授乳を通して乳房にトラブルが生じることもあります。
今回は産後のトラブルの一つ『乳腺炎』について、その主な症状、対処法などを、筆者の体験をもとに紹介していきたいと思います。
目次
乳腺炎とは?
乳腺炎とは、授乳時の赤ちゃんの飲み残し、あるいは乳管が十分に開いていないことが原因でおっぱいが溜まってしまい、そこにバイ菌が入ることで起こってしまう乳腺の炎症です。
乳腺炎の主な症状
乳腺炎には軽度のものから重度のものまで、いくつかの症状があります。
乳房の一部に硬さ、しこりを感じるという症状。
私自身も授乳を始めてすぐに、こうした症状に気づきましたが、まだ痛みを感じることはなかったため、放置をしてしまったのです。
しこりを数週間放置しているうちに、乳房がチクチクと痛み始めました。痛みは徐々にズキズキとした痛みへと変わってゆきました。
しかし、我慢ができないほどではなかったこともあり、引き続き放置してしまいました。
こうした症状がすすむにつれ、乳白色のさらさらとした母乳は、黄色のドロッとした母乳へと変わりました。
ちなみにこうした状態の母乳は、赤ちゃんが飲んでも問題はないそうですが、味が酸っぱくなるとのことでした。
母乳に異変が起きて間もなく、私は突然の悪寒に襲われました。
その日は汗ばむほどの陽気であったにもかかわらず、痛いほどの寒気に襲われた私は、数分後には寝たきりに。
同時に乳房に割れるような痛みが生じ、38度台後半の高熱に。
この時の乳房は、内側に金属の板が何枚も入っているかのような異常な硬さになっていたのです。
乳腺炎の予防法は?
乳腺炎予防法については、産院で教えて頂いていました。
ここでは常に実践できる、4つの予防法を紹介させて頂きたいと思います。
授乳終了後の搾乳を
まずは赤ちゃんにしっかりと飲んでもらうことが大切です。
しかしながら初めのうちは、赤ちゃんがうまくおっぱいを咥えられず、浅飲みで終わってしまうなど、十分に飲んでもらうことは難しいもの。
この時残ったおっぱいは必ず、搾乳機などで乳房が柔らかくなるまで搾乳しましょう。
授乳時の赤ちゃんの向きを意識
赤ちゃんに授乳をするときは、つい抱きやすい向きで飲ませがちですが、そうすると同じ場所だけを吸ってしまうことに。
赤ちゃんの向きが一定の方向だけにならないよう、抱き方の角度を少しずつ変えて、まんべんなく飲んでもらいましょう。
授乳時間、回数はあくまで目安と考えて
授乳は3時間おき、一回の授乳時間は20~30分くらいに、など授乳の目安はいくつか定められているようですが、これはあくまで目安。
あまりに正確に授乳をしようとすると、心身ともに疲れ果ててしまい、母乳の分泌にも影響を及ぼすことになりかねません。
私自身も「赤ちゃんが欲しがった時にあげるくらいの気持ちで」と言われたこともあり、授乳時間などにはあまりこだわりませんでした。
食生活に気を付ける
母乳はお母さんの血液からできているので、油っこい食事や、チョコレート等の甘いものは、摂り過ぎてしまうと血液がドロドロに。
おっぱいが詰まる原因となってしまいます。
乳腺炎の処置をして下さった看護婦さんからは「乳製品等も、あまりたくさんは摂らないようにして、具が多めの野菜スープやみそ汁をよく食べるように」との指示があり、私もこの時期は、それまで毎朝コップに一杯飲んでいた牛乳を、半量に減らして飲んでいました。
とはいえ、甘いものを断つことは、お母さんのストレスになってしまいますから、私はチョコレートを最中に変えたり、干し芋を常備したりしていました。
小豆は母乳の出をよくする効果もあるから、洋菓子を和菓子に変えてみては?というアドバイスも実践しました。
それでも乳腺炎になってしまったら?
多くのお母さんたちが、乳腺炎の予防法について勉強はしていると思います。
けれども実際の育児が始まってみると、頭では分かっていても予防をする余裕もなく、気づいた時には症状が出てしまっていることも。
乳房が柔らかくなるまで搾乳を
乳房に硬さ、痛みを感じた時には、とにかく乳房全体が柔らかくなるまで搾乳をしましょう。
痛い部分の冷し方
搾乳後も痛みが続く場合は、保冷材や袋に入れた氷などを、必ずタオル等で包んで冷やします。
私は冷えピタシートの方が便利では?と思ったのですが、看護婦さんから、冷えピタは冷やすことはできず、かぶれる原因にもなるため、乳房には使わないように、との指示を受けました。
産院、区の治療サービスを利用
私は出産をした産院で、乳腺炎の処置を受けました。
しかし、産院によっては『産後の処置&ケア』は受け入れてもらえないこともあります。
実際私が出産した産院も、本来は受け入れていなかったのですが、症状がかなり悪化しているという理由で、特別に受け入れてもらえたという感じでした。
私が当時住んでいた区には、有料で指定の場所にお母さんが出向く、あるいは助産婦さんが自宅に出向いて処置をしてくれるサービスがありました。
私も2回目以降は、区のサービスを利用しました。
出産前に病院の規定や、区の情報をチェックし産後のケアを確保しておくと安心ですよ。
授乳中は周囲のサポートと睡眠時間の確保が重要
当時を振り返ると、私が乳腺炎を予防できなかった一番の理由は『気力がなかった』こと。
24時間の育児生活で、極度の疲労、寝不足に耐えられず、授乳後は赤ちゃんを抱いたまま寝落ちしていたり『搾乳する時間があれば、その分眠りたい』といった思いから搾乳を怠っていました。
育児を経験した友人の多くが私と同様、乳腺炎を患い、『あまりの痛さに泣いて搾乳した』と話してくれました。
そして『搾乳以上に睡眠が必要だった』とも。
産後のお母さんは、搾乳しなければと分かっていながらも、搾乳に時間を取ることができない状態です。
お母さんたちが乳房ケアを落ち着いてできるようにするためには、お母さんたちにできる限り睡眠時間を与えてあげる必要があります。
乳腺炎から回復後も本調子ではないので周囲に甘えよう
また、乳腺炎から回復したばかりのお母さんへの配慮も欠かせません。
私が産院で処置を受けた際、看護婦さんが私と主人に向かって繰り返した言葉があります。
「この後、解熱剤で明日の朝には平熱に下がります。でも、その下がった時間帯が、本来なら一番熱が上がっている状態ですから、明日はお母さんは家のこともしないようにして、ご主人が協力して下さい。」
翌日は土曜日で、主人も休みだったのですが、平熱に戻った私を見た主人はすっかり安心してしまい、一人で映画を観に行ってしまったのです。
私はまだ立ち上がることもできないほど、朦朧(もうろう)としていたのですが、主人不在のまま・・・その日も一人育児に奮闘することになりました。
乳腺炎の症状や、回復後の状態を理解して貰うことは難しかもしれませんがサポートが必要な時は無理をせずしっかり伝えましょう。
乳腺炎は誰にでも起こりうる産後のトラブルです。
日頃から、お母さん自身がしっかり予防が出来る環境作りも大切なように思います。
周囲の皆さんにも、実際の症状がどれほどのものかを理解して下さること、そして回復した後のお母さんへのケアも、どうか忘れないでいただきたいと願ってやみません。
乳腺炎かも?と思い体調がすぐれないお母さんの参考になれ幸いです、今回も最後までお読み頂きありがとうございました。