「子どもがお友だちを叩いてしまう。」
「何度注意しても叩く行動をやめることができない。」
今回は、保育士の経験を基に、手が出るお子さんについてまとめています。
年齢別の原因を理解し対策をとることで、自分の気持ちをコントロールできるようになり、嫌なことがあっても思いやりを持ってお友だちと関わることができるようになりますよ。
お悩み中のママは、参考にしてみてくださいね。
目次
手が出る子の原因 3つ
主に手が出る子の原因は3つが挙げられます。
- 善悪の判断の理解が原因・・・0歳児・1歳児
- 言葉の未熟さが原因・・・2歳児・3歳児
- 感情のコントロールの未熟さが原因・・・4歳児
次の項目では、年齢別の原因を解説後に対策を項目ごとに説明していきます。
善悪の判断の理解が原因(0歳児・1歳児)
0歳〜1歳の成長過程では・・・
「噛むことがいけないこと」
「ひっかいたりするのはいけないこと」
など物事の善悪の判断はまだできません。
近くに手があったから噛んだ、反応が面白かったから叩いてみたというように特に意味もなく手が出てしまうことがほとんどです。
対処法 | |||
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・「手が出ることはしてはいけないこと」だと落ち着いたトーンで伝える。 ・両手でバツを作るなど行動で分かりやすく伝える。 |
過剰に反応すると面白がったりと逆効果になってしまうので伝え方を工夫できるといいですね。
言葉の未熟さが原因(2歳児・3歳児)
2・3歳児頃の言語能力はまだまだ未熟です。
「おもちゃで遊びたいのに貸してくれない」
「とられたおもちゃを返してほしい」
子どもなりの理由が様々あり、言葉で表すのが難しいことから衝動的に手が出てしまうことが多いです。
対処法 | |||
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・叩いてしまった場合は「これが嫌だったの?」と理由を明確にし言語化をしてあげる。 ・理由が分かればどのような行動をとれば良かったかを子どもに伝え、叩かれたお友だちがどんな気持ちになるかを合わせて伝える。 |
子どもは自分の気持ちを受け止めてもらえることで、安心して過ごせるようになります。
また、大人が理由を明確にして言語化することで、この気持ちは「悲しい」「怒ってる」「嫌だ」と自分の気持ちへの言葉の理解にも繋がります。
手が出てしまった際に繰り返し伝えていくことで、言葉にすることや相手の気持ちを想像し、考えることができるようになります。
感情のコントロールの未熟さが原因(4歳児)
4歳児ごろになれば友だちと言葉でやりとりするのも上手になってきます。
ですが、喧嘩になった際に手がでてしまうこともあります。
毎回、手が出てしまうのは、感情のコントロールが未熟なことが原因の1つとして挙げられます。
対処法 | |||
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・冷静になれるように別の部屋に誘導するなど環境を整える。 ・クールダウン後にお子さんとお友だちのお話を聞き、どのような行動をとれば良かったかを子ども達と一緒に考える。 |
成長や脳の発達と共に感情のコントロールも上手になり、手が出る機会も減ってくるようになります。
また、クールダウン後にお友だちと話合った場合は、手をだすことはほとんどありません。
子ども自身で感情を落ち着かせる経験を繰り返すことで、怒りを上手にコントロールできる学びに繋がります。
手が出る子の対応策
どの年齢にも共通した対応策を①から③まで順番にまとめました。
すぐに手が出なくなることはないので繰り返し伝えていくことが大切になります。
①行動の抑止
子どもが手を出してしまった時は、手を押さえるなどして行動をとめましょう。
望ましい行動を短く、分かりやすく伝えるのがポイントとなります。
大きな声で怒ったように伝えるのではなく「叩きません」と冷静に毅然とした態度で伝えます。
②気持ちの理解と代弁
行動を抑止した後は、叩いた理由を聞きます。
子どもの気持ちを受け止めながら、明確に言語化することがポイントです。
子どもの行ないを責めるためのものではなく、自分の気持ちや叩かない選択肢の言語化ができるようにサポートすることを意識しましょう。
③具体的な行動の示唆
行動を抑止し、気持ちの理解や言葉の代弁をしてあげた後は具体的にどのような行動をとればよかったのかを伝えます。
使っているおもちゃが欲しい場合は・・・
「貸して?と声をかけようね。」
「時間を決めて順番に使おうね。」
など望ましい行動を具体的に伝えていきます。
発達がいがある子どもの対応策
発達障がいは脳の機能トラブルが原因だと考えられています。
感情のコントロールだけでなく、記憶や思考、発想、判断などをつかさどる大切な部位が上手く働かないことで様々な問題が生じてくるのです。
①問題行動の記録
どのような時間帯にどんなトラブルが起きたかを記録することで、問題解決の糸口になることがあります。
発達障害の子どもが何の理由もなく手が出たように見えても、手が出る衝動的な理由は必ずあるのです。
きっかけや刺激としては、音や光などの感覚的なことだったり対人関係などのコミュニケーションに関わることに絞られることが多いです。
問題行動の記録 | |||
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・この時間帯にはこのようなトラブルが多い ・この子どもとのトラブルが週の中で1番多い |
お友だちとの相性を知り、環境を整えトラブルを回避することが大切になってきます。
手が出た時に繰り返し伝えていくことも大切ですが、環境を整えることで減らせるトラブルは減らしていくことに重きをおきましょう。
②具体的な対応策
発達障がいのこどもは、脳の特性ゆえに過去のネガティブな出来事の感情をずっと引きずって暮らしていることが多いです。
例えば一度喧嘩した友だちを見ると、ずいぶん経ってからもそのときの感情が蘇ったり・・・。
「またおもちゃをとられるかも?」と突発的に手が出る場合も少なくありません。
不安感を刺激するような、きっかけを作らないことが大切になってきます。
手がでないように環境設定 | |||
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・遊ぶエリアを決める (衝立などで区切りプライベートな空間を作る) ・時間を決めておもちゃで遊ぶ、入れ替えをする |
手が出そうになったら別室でクールダウン | |||
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・場所を変えると視界が変わり、怒りの原因からそれやすくなる ・冷静に話しができるよう、おもちゃなどなにもない小部屋がよい ・クールダウンできる場所はいつも同じ場所が安心できる |
③褒めることにより行動の定着化
手が出にくい状況を作った上で、手が出なかったことを褒めます。
どんな小さいことでもよいので望ましい行動をした際は、褒めることによって良い行動として定着させていきます。
発達障害の子どもは行動をパターン化してしまうことも多いので悪いパターンで定着させないということがポイントです。
まとめ
我が子がお友だちに、度々手が出ているとハラハラしますし、悩む方も多いと思います。
すぐに手が出なくなることはないので、親の忍耐力も必要不可欠です。
そして「手を出さず」に解決出来た際は、褒めてあげて下さい。
お友だちとの関わりの中で、「叩いて」解決するよりも「言葉で伝えたら良い」と思える経験をすれば、その行動はお子さんにインプットされていきます。
成功体験を積み重ねていけるように、サポートできると良いですね。