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自閉症かな?どうやってわかる?どう感じる?どう接する?
自閉症とは、生まれ持った発達障害の一つであり、特に対人関係を築くのが苦手だったり、言葉の発達が遅れたり、また興味を示すものが極端に偏ったりするというものです。
筆者がロサンゼルスで幼児教育に関わっていた際、この自閉症をもつお子さんの面倒を見ていたことがあります。この子は重度の自閉症をもっており、その症状はとてもわかりやすいものでした。
こう聞くと、絶望を感じるお母さんも少なくはありませんでしたが、自閉症の子どもと上手に向き合い、そしてその子の特性を良い方に活かす事で、なんととんでもない天才が出来上がってしまったという経験があります。
今回は、自閉症とは一体どんなものなのか、そして世間ではどのように考えられているのか、更に筆者的自閉症の子どもとの向き合い方をお話ししたいと思います。
自閉症の症状とは?特徴的な3つの症状
前出の通り、自閉症とは先天性の発達障害で、その症状は大きく分けて3つあります。
その1.対人関係を築くのがとても苦手
私達が他人と関わる時、会話がとても重要になりますね。そしてその会話の時、話している相手の目を見る事が多いでしょう。
しかし自閉症の方には、この目を合わせるという行為がとても苦手と言う方が非常に多いのです。無理に合わせようとすると強いストレスを感じさせてしまい、場合によってはパニック状態を引き起こす事もあります。
他にも、周りの人の気持ちを考えたり空気を読んだりという事も大きな苦手ポイントのようです。
そして、相手の話を聞いていないように見えるという、つまり周りに対して無関心に見える事が多くあります。
その2.言葉の発達が遅れる
その1で出たように、コミュニケーションをとるのが苦手という事で、言葉の発達の遅れもそれとリンクしているようです。
声をかけてもなかなか反応しない、言葉の意味を理解して覚えるのが遅いなどがそれに当たります。
他にも、成長してからも周りの人がジョークで言った言葉であってもその意図を組めないという場合もあります。
自分の伝えたい事が相手に上手に伝わらない状況が続くので、イライラしたりパニック状態になる事もあります。
その3.一定の行動をとる/興味を示すものが極端に偏る
一定の行動をとる&興味を示すものが極端に偏る、これも自閉症の大きなポイントです。
周りの人からすると落ち着きが無い人と思えるかもしれませんが、部屋の中を行ったり来たりしたり、また日々のルーティーンが自分の中で決まっており、そのルーティーンを壊されたり新たな行動を組み込んだりするとパニック状態に陥るという場合も少なくありません。
予定外の事にサッと順応する事に強い拒否反応を起こすのです。
また、一つの事に執着してずっと集中したり、興味を一度示したらそこにずっと固執するというのも特徴です。
自閉症とはどのように見られているのか
ここまでお話ししてきた通り、日常生活を上手におくる、臨機応変に様々な事に対応するというのが難しいと感じるのが自閉症。
そうなると、小学生や中学生など、学生の時は友だちを作るのが困難な場合も当然あります。幼いころは心無い仲間外れなども経験するかもしれません。
しかし、自閉症でなくても人間はそれぞれ得意な事と苦手な事があるものです。人間それぞれの個性や特性を尊重しようとする今、昔に比べると自閉症を持つ方にもその理解は深まっているように感じます。
例えば、世界的子供向け番組であるセサミストリートが、2017年に新たなキャラクター「ジュリア」を登場させ大きな話題になりました。その理由は、ジュリアが自閉症を持つ子どもであるという為。
初めての登場シーンは、既にジュリアをよく知るエルモ、アビーそして先生が、ビッグバードにジュリアを紹介するというものでした。自閉症が何かを知らないビッグバードは、ジュリアに声をかけても反応が無かったり、ハイタッチをしようとしても無視されてしまった事など、自分がジュリアに嫌われてしまったと、落ち込みそうになるシーンも含まれています。
その時に自閉症とは何か、どんな症状なのかを、先生や他の仲間達から教えてもらいます。ジュリアと触れ合ううちに、確かに少し違うところはあるが、それは自分が鳥でエルモはモンスター、アビーは妖精であるように、皆違うところがあるわけで、仲良くなる方法は色々とあると学んでいきます。
皆違って皆同じであるという認識を、幼少期から広めていこうとする、この世界的グローバル番組でも取り組んでいると言えるでしょう。
筆者が思う自閉症の子どもの凄い可能性
先にもお話ししましたが、自閉症の子どもの大きな特性の一つとして「興味を持ったことに執着する」というものがあります。
筆者が面倒を見ていたアメリカ人の自閉症をもった子どももそうでした。この子は数字に異常なまでの興味をしめし、数字を見つけてしまったらどれだけ話しかけても反応が無くなってしまいます。
そして彼の面倒を見始めた時に彼は4歳、この時私はある事に気付きました。少し教えるだけですぐに理解しどんどんレベルを上げるという事に。
彼をシッターしている際に、簡単な計算式を教えたらすぐに理解し、かなりの桁数の数字でも足し算引き算を出来るようになりました。
そこで、掛け算や割り算も少しずつ教えてみたら、結果、とんでもない算数・・・いや、数学マスターになっていました。
これはほんの一例で、どんな自閉症の子どもにも起こる事とは言えません。が、その子が強い興味を示す事があれば、それに打ち込ませてみるのも良いのではないか、というのが筆者的考えです。
彼らは私達の想像をはるかに超える集中力を持っている場合が多いようです。
まとめ
一見、付き合いにくいと感じるのはもちろんあるでしょう。しかし、それを個性ととらえ付き合い方を知れば、相手の意外な才能を発見出来たり、楽しさを共有する事も出来る。
これは、自閉症だけにとらわれず、様々な障害を持つ方に言える事なのではないかと、筆者は思います。
算数が苦手な子、英語が得意な子、お友だちをまとめてリーダーシップをとるのが得意な子、小さな作業が苦手な子、それは様々です。もし自閉症をもつお子さんや大人を見かけたら、その事を思い出してほしいなと、感じます。
※筆者は医療従事者ではなく、自閉症に関する知識は自身の経験からくるものであり、必ずしも全ての自閉症患者さんに当てはまる物では無い事をご了承くださいませ。